「美人すぎる」と言われたり、競技と関係がない「女子力」が注目されたり。女性アスリートは外見や振る舞いが取り上げられることが多い。なぜなのか。

■「美人女子高生スイマー」「シブコスマイル」なぜ?

 2008年の北京五輪と12年のロンドン五輪に出場した競泳の伊藤華英さんは、16歳のころ、「美人女子高生スイマー」などとメディアに取り上げられるようになった。当時は「強くないのになぜ」と不思議だったが、後になって「女子高生」という言葉に違和感があることに気づいた。「競技やスポーツの本質的な魅力が社会に根付いていないから、プラスアルファの部分の方が面白いと思われてしまうのでは」と話す。

 スポーツとジェンダーを研究する城西大の山口理恵子准教授は、メディアの、昨年8月に全英女子オープンを制したゴルフの渋野日向子選手の取り上げ方に疑問を呈す。「シブコスマイル」などと注目された笑顔と、試合中に食べていた菓子にまつわる報道ばかりが目立ち、「彼女はゴルフで何が優れているのかが伝わってこなかった」。

 10代のころから活躍するスキージャンプ高梨沙羅選手が化粧をすることに、「競技に集中しろ」といったインターネット上でのバッシングは後を絶たない。関連して昨年11月、バドミントンの奥原希望選手は「アスリートは人間としての自由がないのかなと考えてしまう」とツイートした。取材の場面で女性アスリートだけが「結婚願望は」「競技と恋人、どちらを取るか」といった質問をぶつけられることも多い。

■まずアスリートとして認めること

 競技以外の部分が注目されやすいのはなぜなのか。山口准教授は「スポーツも、男はこうあるべき、女はこうあるべきだという規範の延長にあるから」と考える。かつては「スポーツ=男性」だった影響で、「アスリートなのに美人」「女子力がある」といった注目のされ方をしてしまう。

 山口准教授は「強い女が昔から嫌われてきたのは世界共通。メディアには男性が多く、女性の『強さ』を取り上げることに無意識の抵抗感があるのではないか」とみる。そして「『美人』とか『ママさん』などと言う前に、まずアスリートとして認めること。メディアの姿勢が問われている」と指摘する。