ヨーロッパリーグ決勝トーナメント1回戦セカンドレグ、ザルツブルクに1点をリードされたフランクフルトは、鎌田大地のピンポイントパスを起点に同点に追いついた。

 30分、中盤で奪ったボールをピッチ中央で受けた鎌田が左サイドを駆け上がるコスティッチに長く強いパスを送る。コスティッチはゴールラインと、スライディングするディフェンダーの間から左足ダイレクトでクロスを上げ、中央に走り込んだアンドレ・シウバが頭で押し込んだ。そのシーンを冷静に振り返る。

「(自身のポジションは)右サイドハーフですけど、上手く中に絞りながらプレーというのは意識してました。コスティッチは速さもあるし、アンドレ・シウバもいまかなり調子がいいので、前3人でしかけきれるシーンが今日もいっぱいあったし。(左MFの)コスティッチがあれだけ前にいるので、僕も前にいるんじゃなくて今日ちょっと守備目にやったりだとか。上手くバランスを取りながらやっていかないとダメかなと思っていたので……、という感じですかね」

鎌田のハットトリックが効いた。

 試合は2-2で引き分けたが、ファーストレグはその鎌田のハットトリックを含む4-1で勝利していたため難なくラウンド16への進出を決めた。

 試合前日の記者会見にヒュッター監督と共に出席した長谷部誠は鎌田についてこう言っていた。

「明日はまた3点をとるように、夕食のときにでも言っておきます」

「チームのためになれてるという感じ」

 鎌田はこのセカンドレグで得点こそなかったが、申し分ない動きを見せ73分に退いた。

「試合内容は、個人的に悪くなかったと思います。まあやっぱりチームは守備を第一にしていてプレスバックというかボールを取れるシーンもあったし、サイドハーフとしてまずね、やらないとだめなことがある程度うまくできて。

 チームもしっかり次のステージに上がれたので、チームのためになれてるという感じがした。得点がとれなくても良いシーンは作れてたし、うん。まだまだ自分自身もっと成長もできるなと思うし、今はこう……サッカー選手は試合に出ることが一番大事かなと思います」

 前日会見での長谷部からの激励に対するアンサー、というわけではないだろうが得点がなくても納得の出来だったことを認めている。 

ELでは絶好調、一方リーグでは。

 鎌田はELでここまで、8試合で6得点2アシスト、極めて好調だ。6得点の中にはアーセナル戦、エミレーツ・スタジアムでの2得点も含まれる。

 ただ不思議なことに、この好調さは、今のところELだけに限定されている。ブンデスリーガでは、18試合出場13試合先発で0得点3アシスト。悪くはないが、攻撃的MFの選手としては物足りない。

 積み重ねたデータがある上にきっちり分析して臨む国内リーグに比べ、試合中の判断が大きくなる欧州リーグでは相手のマークも確かに違う。加えて、チームの雰囲気も違うのだという。

モチベーションがELに傾いている?

「リーグとヨーロッパリーグはまた違って、うちの選手もリーグを捨てているわけではないんですけど、モチベーション的なものはね、ヨーロッパリーグとかカップ戦(ドイツ杯)にすごい傾いているというか。ファンもそうだと思うし。リーグ戦もね、残留も決まってないし、まだまだ頑張らないとだめですけど」

 本人も、まずはドイツ国内での得点をと思っているはずだ。ドイツ杯1回戦では得点しているがあくまで格下相手。1部のチームからの得点でないと、評価はされづらい。

「うちはポカール優勝を狙っています」

 このザルツブルクとのセカンドレグはオーストリアの国中を襲う暴風雨のため1日延期された。そのため週末のブレーメンとのリーグ戦は延期になったが、ミッドウィークの4日にはドイツ杯準々決勝が同じブレーメンを相手に行われる。まずはその試合に照準を合わせている。

 相手には大迫勇也もいるが、それ自体は気にならないとした上で強い意気込みを語る。

「もう勝てばベスト4なので、今年うちはポカール優勝を狙っています。準々決勝はホームでできるので。モチベーションはかなり高く、臨めると思いますね」

 チームの勝利だけでなく、自身の得点も決めることができるだろうか。

(「欧州サッカーPRESS」了戒美子 = 文)