南北アメリカ大陸の東京五輪選考大会であるパン・アメリカン大陸選手権が米・ロサンゼルスで2月27日~3月1日にかけて行われ、女子はアランナ・イップ(カナダ)、男子はコリン・ダフィー(米国)が優勝し、それぞれ東京五輪代表に内定した。 大会は東…


 南北アメリカ大陸の東京五輪選考大会であるパン・アメリカン大陸選手権が米・ロサンゼルスで2月27日~3月1日にかけて行われ、女子はアランナ・イップ(カナダ)、男子はコリン・ダフィー(米国)が優勝し、それぞれ東京五輪代表に内定した。

 大会は東京五輪の実施フォーマットと同じ、3種目複合のコンバインド種目で行われ、東京五輪行きチケットを手にできる1位の座を懸けてアメリカ大陸の有力選手たちが激突した。

 現地時間28日に行われた女子決勝は、第2種目ボルダリングで同種目を得意とするイップが唯一の全3完登に到達し、スピードとの合計で5ポイントとして首位に浮上する。その後のリードでは、優勝を争うアレジャンドラ・コントレラス(チリ)を上回る高度をマークしたことで総合1位が確定。競技終了後には同じカナダ人選手らと抱擁をかわし、涙の五輪代表内定となった。



女子優勝のアランナ・イップ。五輪出場を目標に掲げてきた26歳が、世界選手権、IFSC複合予選会で掴めなかった念願の東京行きチケットを手にした。

 翌1日の男子決勝では、世界ユース選手権のユースBカテゴリーでリード2連覇の実績を持つ16歳、ダフィーが躍動する。予選を3位通過していたダフィーはスピード5位とまずまずのスタートを切ると、ボルダリングは全完登で2位に付け総合3位に浮上。

 最後のリードでは、優勝には同胞のショーン・ベイリーよりも速くTOPに到達し1位を取る必要がある状況で、最終競技者のダフィーに順番が回ってくる。プレッシャーのかかる展開となったが、16歳とは思えない冷静な登りを披露。最後まで下半身がブレない安定したクライミングで予選からの連続完登を決め、ベイリーよりも約30秒速くゴールすることに成功した。合計では10ポイントとし、2位とは6ポイント差の僅差の戦いを制して、155cmとまだ小柄な16歳が五輪行き切符を手中に収めている。

第2種目ボルダリングに臨むコリン・ダフィー。世界ユースを制した2年前に比べ、顔つきは精悍さが増し、フィジカルもレベルアップした。

 現時点で国際スポーツクライミング連盟(IFSC)が発表している五輪出場内定選手リストに照らし合わせると、女子優勝のイップは男子のショーン・マッコールに次ぐカナダ2人目の五輪代表内定選手に、男子優勝のダフィーは米国で4人目、かつスポーツクライミングでは他選手も含めて最年少のオリンピアンとなった。

東京2020五輪 出場枠獲得選手

<男子>
1. 楢崎 智亜(JPN)
2. ヤコブ・シューベルト(AUT)
3. リシャト・ハイブリン(KAZ)
4. 原田 海(JPN)※
5. ミカエル・マウェム(FRA)
6. アレクサンダー・メゴス(GER)
7. ルドヴィコ・フォッサリ(ITA)
8. ショーン・マッコール(CAN)
9. アダム・オンドラ(CZE)
10. バッサ・マウェム(FRA)
11. ヤン・ホイヤー(GER)
12. パン・ユーフェイ(CHN)
13. アルベルト・ヒネス・ロペス(ESP)
14. ナサニエル・コールマン(USA)
15. コリン・ダフィー(USA)

<女子>
1. ヤンヤ・ガンブレット(SLO)
2. 野口 啓代(JPN)
3. ショウナ・コクシー(GBR)
4. アレクサンドラ・ミロスラフ(POL)
5. 野中 生萌(JPN)※
6. ペトラ・クリングラー(SUI)
7. ブルック・ラバトゥ(USA)
8. ジェシカ・ピルツ(AUT)
9. ジュリア・シャヌルディ(FRA)
10. ミア・クランプル(SLO)
11. ユリヤ・カプリナ(RUS)
12. キーラ・コンディー(USA)
13. ローラ・ロゴラ(ITA)
14. ソン・イリン(CHN)
15. アランナ・イップ(CAN)

※出場枠獲得選手一覧はIFSCの公式サイト掲載リストに基づくもの。
※東京2020五輪に出場できるのは男女20名ずつ、各国最大男女2名ずつ。
※IFSCは原田海、野中生萌を日本人男女2人目の五輪代表内定者としているが、JMSCA(日本山岳・スポーツクライミング連盟)は選考基準の解釈が突然変更されたとしてそれを不服とし、スポーツ仲裁裁判所に提訴している。

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編集部 /

写真

©2020 Daniel Gajda/IFSC