日本の「お家芸」と呼ばれる競泳で、渡辺一平(22)=トヨタ自動車=が、ユース五輪の金メダル第1号に輝いたのは、2014年大会の男子200メートル平泳ぎだった。

 2年後、五輪初出場のリオデジャネイロ大会の準決勝で、五輪最速をマークした。「人によっては『五輪に魔物がいる』なんて言うけど、そんな感じはしなかった。五輪マークのあるプールに慣れていた。ユース五輪のおかげだと思う」

 喜びは、しかし、ほどなく消えた。翌日の決勝でタイムを落として6位。04年アテネ大会優勝の北島康介から続く、この種目の日本勢のメダル獲得を途切れさせた。「あの悔しさを晴らしたい」。東京五輪をめざす、最大の理由だ。

 昨年7月に破られるまでおよそ2年半、世界記録を持っていた。塗り替えたのは同じ年に生まれたロシア選手。落ち込むかと思いきや、「これだけ強いライバルがいると燃える。負けたくない」。練習に取り組む目の色が変わった。

 圧倒的な力をみせつける。それが金メダルへの近道と心得ている。今年の抱負は「魅」。「ただ勝つだけではダメ。世界記録をめざす。見てくれる人たちが、感動するようなレースをしたい」(清水寿之)

〈わたなべ・いっぺい〉 1997年、大分県出身。2017年に200メートル平泳ぎで出した2分6秒67の日本記録は、世界歴代2位タイ。トヨタ自動車所属。