2大会連続でのスポーツクライミング競技実施が確実視されている2024年のパリ五輪に向けて、日本山岳・スポーツクライミング協会(JMSCA)が新たな強化・育成選手制度を発表した。

 JMSCAはもともと、東京五輪開催に合わせてオリンピック強化選手制度を2017年から実施している。これは国際大会への優先派遣や強化合宿などへの招集を通し、オリンピックでのメダル獲得のため重点的な強化を図るものだ。新たに発表されたのは「第1期JMSCAパリオリンピック強化選手」と「第1期JMSCAスピード育成選手」の2つ。いずれもパリ五輪での金を含む複数メダル獲得を目的とし、第1期は2020年11月から翌3月末までの5か月間を対象とする。

 リードとボルダリングによる複合種目、スピード単種目での実施が濃厚なパリ五輪だが、その強化選手は「国際競技大会において単種目または複合種目で戦える競技力を持つ可能性のある選手を世界ランキング上位者または国内外の大会の上位者から選考する」とされ、現行制度と同様にS・A・Bのランク制を導入。最上位のSランクには東京五輪代表、世界ランク3位以内、コンバインドジャパンカップ2020優勝選手などが入り、強化合宿・練習会への最優先参加権、移動宿泊費等の補助といった特典を受けることができる。

 すでにトップクラスの実力を持つ選手が選出される五輪強化選手に対し、スピード育成選手は文字通り「育成」に重点を置く。選出基準は、同強化選手を除いて、男子が8秒以内、女子が13.5秒以内の公式記録を計測していること。スピード種目の底上げが進む現状では、クリアしやすい設定タイムと言えるだろう。男女10名ずつが上限で、その特典として同強化選手のスピード強化練習会などへの参加権が与えられる。将来性ある選手を育成し、まずは国際大会での決勝進出を目指していく。

 東京五輪開催前にもかかわらず次回大会に向けた取り組みを発表したことについて、日本代表の安井博志ヘッドコーチは「危機感がある」と説明する。「(パリ五輪への)時間がないと思っている。パリ五輪はリード&ボルダリングのコンバインドと、スピード(の計2種目)と言われているが、スピードは『専門選手』という分野でまだまだ遅れているし、リード、ボルダリングはヨーロッパ選手が伝統的に強い。(強豪国の)日本は今は追われる立場でいるが、変わらないでいるとすぐに追い抜かれるんじゃないかという危機感がある。常に進化していかなければならないし、早めに取り組んでいきたい」。

 東京五輪イヤーである2020年のスポーツクライミングシーズンは幕を開けたばかりだが、その視線は、すでに2024年へ向けられている。

第15回ボルダリングジャパンカップで女子決勝に進んだ2003年生まれの(左から)森秋彩、谷井菜月、松藤藍夢。現在16歳の彼女たちも、4年後には20歳を迎え、日本代表中心選手としての活躍が期待される。

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取材・文

編集部、篠幸彦 /

写真

窪田亮