! 「親子3代の五輪出場」の夢はパリ五輪へ――。9日にあった水泳・飛び込みの国際大会選考会で、元五輪代表の祖父母と両親を持つ金戸凜(りん)選手(16)は、女子3メートル板飛び込みで4位に終わり、東京五輪の出場権を逃した。この半年はけがに苦しんだ。

 5回目の演技が終わると、金戸選手はプールの隅で顔を覆って泣いた。決勝は計273・8点で、首位と40点以上差があった。高校1年。「答えられる自信がない」と、試合後の取材に応じることができなかった。

 1964年の東京五輪など、祖父母も両親も複数大会に出場した金戸一家。「親子3代で出場」という期待が集まるなか、昨年7月には世界選手権の「高飛び込み」予選で五輪出場が狙える位置につけた。だが準決勝で肩を痛め、今年1月までに2度、亜脱臼を繰り返した。

 「飛びたいのはわかるけど、凜はまだ若いし、先がある。コーチが止めなきゃいけない時がある」。昨年末、コーチで父の恵太さんが伝えた。得意の高さ10メートルから飛ぶ高飛び込みでなく、板飛び込みでの出場に目標を切り替えた。

 「今持っている力を全部出す」。決勝を前にした7日、意気込みを語ったが、転向後の複雑な胸中ものぞかせていた。「高飛びは自信もあって。本当に『板』で五輪にいけるのかな、とか、これで終わっちゃったらどうしようとか、結構悩んだ」

 客席では祖父俊介さん(80)と祖母久美子さん(83)が孫の姿を見つめていた。「『パリに行くから長生きしてね』と言ってくれたこともある。ここで終わりじゃない。この悔しさは本人だけのもの。これからも見守っていきます」

 大学生で初めてソウル大会に出場し、3大会連続で五輪に出た父恵太さん。「凜のキャリアのピークはまだ先にある。過去にもホスト国の選手で五輪出場を逃した後、メダリストになった人もたくさん知っている。そういうお手本を伝え、また頑張ってもらいたい」。金戸選手は近く肩を手術し、リハビリしつつ復帰をめざすという。(斉藤佑介、照屋健)