! 滋賀県東近江市能登川町の山あいにある天台宗安楽寺の住職を務めて26年。元プロボクサーという経歴が今では想像できない穏やかな表情の住職を訪ね、悩みを抱えた人たちが240段の石段を登って来る。

 岡山県井原市の農家に生まれた。思うようにならないと他人に手をあげる不良少年だった。

 高校3年の時、けんか相手にけがを負わせ、退学になりそうになった。呼び出した校長が、一つの句を教えてくれた。「渋柿の渋こそよけれ、渋柿の味」。渋柿は誰も食べない、つるされて甘くなるには自分の生き方を見直さなければならない、との意味だ。正面から向き合ってくれた校長の温情に触れ、気持ちを入れ替えて無事卒業。大阪市の繊維会社に就職した。