12日、陸上の第38回全国都道府県対抗女子駅伝大会で最多優勝回数を更新する17度目の優勝を飾った京都。3大会ぶりの優勝は大逆転で果たされた。1区で18位と出遅れたが、5区の三原梓、6区の村松灯、7区の村松結(いずれも立命館宇治高)が区間1位の快走で2位まで押し上げると、8区の瀬川藍(木津二中)がトップに出て、最終9区を一山麻緒(ワコール)が逃げ切った。

■あきらめない……後半逆転

 猛追が始まった。4区を終えて16位。京都の沢井監督でさえ、「正直なところ優勝は厳しいかな」と思ったその時だった。

 5区の三原は走る前に胸に手をあてた。「私で流れを変えてみせる」。序盤から飛ばし、ひたすら前の走者を追う。区間タイ記録の走りで8人を抜き、同じ立命館宇治高の6区村松灯(とも)へ。仲間の力走に「私だって負けられない」。区間最高の走りで続き、4人を抜いて妹の結(ゆう)へたすきをつないだ。

 こちらも区間タイの快走で2位に上がると、勢いはもう止まらない。8区の中学生・瀬川が残り1キロを切ってトップに立ち、最終9区の一山が両手を広げてフィニッシュテープに飛び込んだ。

 チームは昨年12月26日から合宿し、食事の時も中高生と社会人が同じテーブルで食べるなどして、結束力を高めてきた。たすきを受け渡すときのちょっとした声かけやしぐさも力走につながったという。三原は灯へ「頑張って」と活を入れ、灯は結の背中をぽんっと押した。そして、7歳下の瀬川に「アイラブユーです」と言われた一山は、笑顔で走り出した。

 大逆転で17度目の優勝を飾った。沢井監督は「選手たちはほんまにすごい。よくあそこから追い上げた。感動した」。あきらめない。その思いは一本のたすきで最後までつながった。(山口裕起)

■3位の東京、アンカー新谷が激走

 東京のアンカー新谷仁美(積水化学)が激走で順位を押し上げた。

 昨秋の世界選手権1万メートルに出場した31歳のベテランは、トップと1分34秒差の9位でたすきを受けると、中間地点で50秒差に。さらに猛追し、1位と21秒差の3位でゴールした。

 ただ、本人は不満顔。唯一の30分台で区間記録にあと5秒に迫る走りだったが「遅いですね。みんながいい位置でつないでくれたので、私のやるべきことは1位でゴールすることだった」と悔しがった。

 視線の先にあるのは、東京五輪だ。「30分57秒では世界と勝負にならない。このタイムで『やったー』とはまったく言えない」。目標は、もっともっと高いところにある。

■五輪マラソン内定の前田も好走

 大阪の9区は、東京五輪女子マラソン代表に内定している兵庫県尼崎市出身の前田穂南(天満屋)。11位から8位に順位を上げ、チームの3年連続入賞に貢献した。「前の選手を追いかける感じで走れた。チーム一丸になって臨めました」。この大会のために、9日に合宿先の米国から帰国。15日には再び渡米する予定で、スピード強化のトレーニングを再開する。「東京五輪の金メダルを目指して、また練習します」と決意を新たにした。

■長崎・広中が5年連続区間賞

 1区で長崎の広中璃梨佳(日本郵政グループ)が圧巻の走りを見せた。スタートから先頭で引っ張ると、中間点の3キロを過ぎたところで前に出て、独走状態に。第21回大会で奈良の山中美和子(ダイハツ)が出した区間記録を5秒更新。中学、高校時代から5年連続の区間賞を射止め、「自分のペースで進められた」。5千メートルで東京五輪の参加標準記録を突破している19歳。「2020年初のレースで結果を出せて、一歩弾みになったかな」