6車線の道路をトレーラーや大型トラックが、ひっきりなしに行き交う名古屋市港区の金城ふ頭。約30年前、田中照代=岐阜県土岐市出身=はほぼ毎日ここに来た。後にパラリンピックで計5個のメダルを獲得する田中にとって、ここは練習場所だった。

 事故で車いす生活を送るなか、20代半ば過ぎから陸上に打ち込んだ。名古屋市内の競技場を走りたかったが、頭を下げても競技場の管理者には「車いすは器具。ぶつかると危険」とにべもなく断られた。車いすスポーツに取り組む仲間が教えてくれたのが、当時、住んでいた市営住宅に、ほど近い金城ふ頭を周回する公道だった。

 ただマンホールのふたにタイヤが引っかかり、後続車にはよくあおられた。