「義手をつくってくださる中村ブレイスさんに感謝です」。前回のリオパラリンピックの競泳日本代表、一ノ瀬メイ選手(22)=近畿大職員=は2019年5月、自身のツイッターに義手を装着してバーベルを引き上げる動画と共に、こんなメッセージを投稿した。

 一ノ瀬さんは京都府出身で先天的に右ひじから先がない。2015年から、オーダーメイドの練習用義手の製作で支えているのが義肢・装具メーカー「中村ブレイス」(島根県大田市)だ。世界遺産、石見銀山のふもとにあり、創業は1974年。医療用器具の製造を手がけ、義手や人工乳房など、本物とみまがう色や質感をシリコーンで再現する技には定評があるが、アスリート用の義肢をつくるのは初めて。創業者の中村俊郎会長(71)が一ノ瀬さんと同じ近畿大の卒業生というのが縁だった。

 パラ競泳は競技中の義肢の装着は認められていないため、障害によって左右非対称な体でバランスを保ちながら泳ぐことが求められる。一ノ瀬さんは大学入学を機に右ひじから先の欠損部分に義手を着け、左右の筋力差をなくすための練習に取り組むことになった。