巧みなスティックさばきで、相手ディフェンス(DF)を華麗に破る。

 ドリブラー清水美並選手(26)は、ホッケー女子日本代表「さくらジャパン」のフォワード(FW)。チームの得点源だ。

 ホッケーが盛んな伊吹町(現・米原市)出身。小3で始めた時、6歳と3歳上の兄2人も選手だった。

 自宅の庭に人工芝があり、毎日、兄たち相手にドリブルを磨いた。

 ホッケーの得点は、狭いサークルからのシュートが条件。半径14・63メートルの半円に密集する相手DFをかわすのは、至難の業だ。

 必要なのは、予想外の動きで瞬時に相手を出し抜く力と、卓越したスティックさばきだ。

 その力は、体格に勝る兄を抜く努力が役立った。

 同時に培った高度なスティックさばきで、清水選手はスティックを長く持つことが可能になった。

 他の選手が短く持つのは、ボールさばきを安定させるため。しかし、前かがみになり視野が狭まる。

 長く持つ清水選手の視野は広く、相手との距離感をつかみ、より最適なタイミングで仕掛けられる。

 国内では、常にトップ選手だった。

 強豪・伊吹高で1年生からレギュラー入りし、インターハイで優勝、2年生で18歳以下の日本代表にもなった。東海学院大(岐阜)4年で国内リーグのベストイレブンに。卒業後は強豪ソニーHC(愛知)に進み、代表にも定着した。

 そこで、世界の壁にぶつかった。

 ドリブルが、長いリーチを持つ海外選手に通用しない。2016年リオデジャネイロ五輪は、5試合無得点。チームも勝利ゼロに終わった。

 潮目が変わったのは、大会後だ。

 国際ルールが変更された。「危険」とされた相手のひざ高より上に浮かせるドリブルが、認められた。

 注目されたのが、3Dドリブル。清水選手が最も得意とする技だ。ボールを空中に浮かせ相手スティックの上を通過する。リーチの長さの違いが克服できる高度な技術だ。

 17年5月のアンソニー・ファリー氏の代表監督就任も、刺激になった。遊び心を重視する新指揮官から多くの3D技術を学んだ。

 18年、大きく躍進する。

 国内リーグ初の得点王。8月のアジア大会は6戦全勝で初優勝。翌9月、4カ国大会の決勝で、世界ランキング2位のオーストラリアを破って優勝。自身も大会MVPに輝いた。

 環境も整った。スポンサーが付き、遠征費用の自己負担もなくなった。

 東京五輪は、膨らんできた「さくら」のつぼみを咲かせる舞台。目標は、ずばり、金だ。

 「五輪で勝つことがホッケーの魅力を日本に広める一番の近道。そのために全力を出したい」(安藤仙一朗)