第96回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)は3日、神奈川・芦ノ湖から東京・大手町までの復路(6~10区、109・6キロ)があり、2日の往路を制した青学大がそのまま逃げ切り、2年ぶり5度目の総合優勝を果たした。

 やっぱり、青学大は強かった。

 1年生の岸本大紀(新潟・三条)を花の2区に抜擢(ばってき)した往路とは一転。原晋監督は「復路は4年生の意地に期待している」と6、7区に箱根初出場となる4年生をそれぞれ起用した。最初で最後の箱根路。2人は4年間の思いを込める。6区の谷野航平(東京・日野台)は区間3位の走りで、ライバル東海大の追い上げをかわし、7区の中村友哉(大阪桐蔭)も区間4位と粘った。一度も先頭を譲ることなく、たすきは最後までつながった。

 昨年、チームは大会5連覇を逃し、春には主力級の選手がこぞって卒業した。「青学は弱くなった」という周囲の声に、主将の鈴木塁人(4年、千葉・流通経大柏)は「僕らも正直なところ不安だった」と振り返る。ふだんは強気な原監督でさえ、「ひとつ間違えるとシード権も取れない」と弱音を吐くこともあった。

 ただ、夏の合宿中に何度もミーティングをして気づいたことがあった。「強い選手がいた今までの青学と僕たちは違う。ひとりひとりが貪欲(どんよく)に練習しなければ勝てないとわかった。全員駅伝です」。自主的に練習をする選手が増えたのはそれから。谷野も中村も、まだ薄暗い早朝から走った。

 全員駅伝はチームを一つにする。一昨年、昨年と2年連続で5区を走った竹石尚人(4年、大分・鶴崎工)は今回、左足を痛めた。大会ぎりぎりまで様子を見ようとした指揮官に、16人の登録メンバーから外すよう直訴。「青学大のメンバーには力のある選手が入るもの。僕はサポートに徹する」。この日は7区中村の給水係を務め、最後に大声でげきを飛ばすと、中村は拳を突き上げて応えた。

 原監督は毎年恒例となっている箱根駅伝の作戦名に、今回は「やっぱり大作戦」を選んだ。昨年12月上旬に千葉・富津市内のコースで力強く走る選手たちを伴走車の中から見て、ひらめいたという。「やっぱり、いいチームになった。終わってみれば、やっぱり青学大は強かった、やっぱり青学大の4年生はすごい、と駅伝ファンに言っていただきたい」

 100周年の節目の大会。区間新記録が続出したが、青学大にスター選手はいなかった。校風のようなスマートさもなく、泥臭く走った。でも、やっぱり――。新春の大手町に笑顔が広がった。(山口裕起)