「きずな」と呼ばれるロープがある。視覚障害がある人と伴走者が互いに両端の輪を握って走る。腕の振りや歩幅がそろわなければバランスを崩し、転んで大けがをする恐れがある。

 生まれつき目が不自由で「光を感じるだけ」という井内(いのうち)菜津美さん(30)=京都府宇治市=が、伴走者の日野未奈子さん(24)=京都市上京区=とつなぐロープはわずか10センチあまり。握った手の感覚と日野さんの声を頼りに走るため「声の通りに動けるよう、集中力を研ぎ澄ませます」。

 特にスタート時はほかの選手や伴走者がひしめき、接触する可能性も高いが「ぶつかったらどうしようって思った方が危ない」。日野さんと「一心同体」で、東京パラリンピックの女子マラソンと1500メートルの出場を目指す。