東大阪市の花園ラグビー場で開かれている第99回全国高校ラグビー大会で、大会史上初となる女性レフェリー(主審)が2人誕生した。そのうちの1人が福岡県の柳河特別支援学校教諭で、九州ラグビー協会公認B1級レフェリーの上原睦未さん(31)だ。

 12月30日の2回戦、青森山田-浦和(埼玉)戦で今大会2度目の笛を吹いた。タックル一発ごとに歓声が起きる熱戦の末、浦和が33-28で勝利。上原さんは「こっちまで胸が熱くなったが『冷静に』と言い聞かせた」。

 上原さんの試合のさばき方には特徴がある。選手たちに強く注意をするというより、歩み寄って穏やかに話をする姿が目立つ。反則をできるだけとらなくてすむように、見ているポイントを選手に伝える。「もちろん男女で判定に差が出てはいけない。でも自分は自分らしく。強く言ったりするのは似合わないので」

 試合後、両校の選手や監督から「ナイスレフェリングでした。ありがとうございました」と次々と握手を求められていた。

 上原さんは小学校でラグビーを始めた。「中学ともなると、男女一緒にプレーするのはお互いにやりづらい」と中高は競技から離れたが、ラグビーへの思いがやまず、日体大で再び4年間プレーした。

 審判を志したのは、特別支援学校の講師だった24歳のとき。同僚に審判をしている人がいた。「こういうラグビーとの関わり方もあるんだと知って」。それ以来、大学など各年代の大会で審判を務めてきた。

 聖地・花園で笛を吹くことは目標だった。九州での合宿や長野・菅平での研修を経て、主審に選ばれた。「もちろんうれしかったけど、女子だからとは思われたくない」と覚悟を決めて、大会に臨んだ。

 この日で今大会予定された2試合をさばき終えた。「(タイミングが)遅れても正しい判定をしようと副審とも打ち合わせていた。自分の基準の中で吹けたと思う」と自己評価。「みんなが熱く戦いつつも、『ミスを減らそう』と冷静な声かけをするのを間近で見られて、ラグビーっていいなと改めて思いました」と笑顔で会場を後にした。

 大会実行委員によると、これまでも副審での女性の起用はあったが、主審としては今大会が初めて。女性審判のレベルが上がっており、2人が起用されたという。(内田快)