交通事故で右腕に障害を負い、2024年のパリ・パラリンピックにパラトライアスロンで出場を目指す会社員、松居礼大(あやひろ)さん(30)=名古屋市熱田区=が、来年の東京五輪の聖火ランナーに選ばれた。「人に助けてもらった人生。恩返しになれば」との感謝を胸に、出身地の滋賀県を走る。

 彦根市で生まれた。中学は卓球部の部長を務め、高校はバンド活動でギターに打ち込んだ。広島県の大学に進学した07年、原付きバイクで通学中に事故にあった。全身を打ち、右の肩甲骨や頸椎(けいつい)、右足などを骨折、肺も損傷した。事故の記憶はなく、右腕が動かなくなっていた。

 「大学? 就職? 無理だろう」「どう生きていったらいいのか」。不安な日々を支えたのは、滋賀から駆けつけて3カ月間ビジネスホテルに連泊し、看病してくれた母だった。「代われるなら、代わってあげたい」という言葉が心に響いた。「苦しい時間が、幸せな大切な時間でもあった」