保坂典子のAmerican Cheer Life Vol.5ハドルウェブ読者の皆様こんにちは!NFLのレギュラーシーズンもいよいよ開幕し、レプリカジャージを着ているファンの姿をたくさん見かけるようになってきました。今年はどんなシーズンになる…

保坂典子のAmerican Cheer Life Vol.5

ハドルウェブ読者の皆様こんにちは!

NFLのレギュラーシーズンもいよいよ開幕し、レプリカジャージを着ているファンの姿をたくさん見かけるようになってきました。

今年はどんなシーズンになるのか? 私もドキドキ、ワクワクしながら毎週の試合を楽しみに待っています。

先日、ここで紹介した日米の美の基準の違いについて、かなりの反響をいただいたので、今回も引き続き日米の価値観の違いについてご紹介したいと思います。

1.  女性の外股歩き

俗に言う『ガニ股歩き』です。ただし、膝は開かず、足先を外側に向ける、バレリーナのような歩き方をイメージしてください。

日本では『ガニ股歩き』は「品性に欠ける」、「女性らしくない」とされていると思います。しかし、米国では内股(鳩の足がそう見えることからPigeon−toedと言われています)が逆に魅力的でないとされています。

雑誌などを見るとモデルさんが内股でポーズをしているのは見るのですが、日常生活の中で内股歩きの米国人を見ることはほとんどありません。私は「どうして日本人は内股で歩いたり、引きずって音をさせたりして歩くの?」と、日本に来た米国人の質問を受け、それからとても歩き方に気をつけるようになりました。

日本に住んでいた時は全く気づかなかったのですが、今では日本に帰る度に内股で歩く女性の数の多さに驚かされます。

日本人には着物を着る文化があるため、内股歩きがおしとやかな女性の歩き方として一般的になっているのでしょう。しかし、米国では幼稚に見えてしまったり、足やお尻の形を悪くしてしまう原因になってしまったりするため敬遠されています。ダンスレッスンを受けた時や、チームの練習なども『内股になっているから気をつけて!』と、指摘をしているのを何回も聞きます。

2.  頬骨

"I am so jealous of your cheek bone..."

(あなたの頬骨、嫉妬するほど素敵ね)

日本では一度も聞いたことがない褒め言葉を何人に言われたことでしょうか。最初にチームメイトに言われた時は意味がわからず、何が一体どうして羨ましがっているのかまったく理解ができませんでした。

どうやら米国では頬骨が高いことが良いことらしく、整形する人もいるほどです。メイクアップの時にも必ず頬が高く見えるように、頬骨にはハイライト、その下にはシャドウを入れます。

日本で頬骨が高くて素敵だと言う表現はまったく聞いたことがなかったので、とても衝撃を受けたのを覚えています。逆に「小顔で良い」という褒め方をあまりこちらでは聞いたことがありません。

3. 個性的であることは魅力的

今まで散々実際の造形に関して基準の違いのお話をしてきましたが、とても強く感じることは『人間的に魅力か?』、『人と違うか?』というところに焦点が当たっている事がとても多いことです。

私はレッドスキンズ時代もレイダース時代もカープールと言ってライド(運転)をシェアして練習に行っていました。その時に40人のチームメイトの写真が一枚のカードに載っている通称『チームフォト』が出来上がると、必ずチームメイトたちとしていた事が『誰が魅力的か?』を、写真を見ながら意見を言い合うことです。

米国では”Who is the hottest teammate?" ”(誰が魅力的でセクシーか?)という聞き方をしていました。これは、造形の綺麗さというよりは、態度や仕草、表情や自信などに多くの焦点が当たっているニュアンスが強い質問です。

そして選んだ理由の一つに『他の人と違うから』、『個性的だから』という意見が多く挙げられていました。あまりそういう観点で物事を見ていなかった当時の私はとても驚いていました。

アフリカンアメリカン、日本、コケージョン(ヨーロッパ系)そしてラテン系の全部の血を受け継いだチームメイトがとても人気がありました。彼女は「すぐに人種がわからない容姿」、「メイクの仕方によっても多様なイメージに変化できる」、「様々な文化に対して身をもって理解しているので、色々な価値観を持った人を受け入れる大きな器がある」等々、彼女を褒める言葉は造形の美しさにとどまりませんでした。

米国に来た当初と、米国在住9年目の今の私ではやはり感覚は変わっていると自覚しています。米国に住み始めた頃は自分自身の容姿や存在に自信が持てず、造形の美しい違う人種の人を羨ましいと感じる事が多くありました。

しかし、日本人は日本人で、アジア人はアジア人で、また私自身一人の人間として、造形よりも自分自身を愛し認め自信を持ってイキイキと生きている姿が魅力的と感じる人が多いことが分かってからは、必要以上に悩むことはなくなりました。

そして私自身もそういった観点で物事をや人の美しさを見るようになったと思います。

米国は色々な国の色々な価値観が集まってできている国であり、どんな意見も『正解』であると同時に『不正解』でもあります。

自分自身が心地よく、自分自身であること。自分の良さを一番に生かすことが、米国で生活する上で一番必要なことだと、日々感じています。これは、きっと日本でも同じではないでしょうか?

りんごはメロンにはなれませんから、『最高のりんごになってやろう!』と思いながら9年目のアメリカ生活を過ごしていこうと思います!

そして、スマイルは全世界共通の最高の美だと思います!

今日もスマイルで!

 

Noriko Hosaka

獨協大学卒業後、Xリーグチアリーダーを経て2008年に渡米。NFLワシントンレッドスキンズ、米国室内プロフットAFLサンノゼセイバーキャッツ、NFLオークランド・レイダースと米国で計6年間、チアリーダーとして活動。現在はNFLを目指すチアリーダー向けのワークショップを開催するなど、後進の指導にあたっている。サンフランシスコ在住