10月6日未明、愛媛大学山越グラウンドで不審火と思われる火災が発生。負傷者は出なかったが、アメリカンフットボール部、女子ラクロス部、女子サッカー部が使用している倉庫2棟が全焼した。早朝6時にスタッフ経由で警察から連絡を受けた主将のLB石川力也(4年)が倉庫に駆けつけると、倉庫に置いていたヘルメットやショルダーパッド、スパイクなどの用具はほとんどが炭のようになっていた。

ファーストステージで2敗して4位だった愛媛大だが、セカンドステージで2連勝すれば逆転優勝が狙える。昨季はファーストステージで敗戦した広島大学にセカンドステージ1回戦で7対0とアップセット。決勝戦で敗れて優勝を逃したが、当時3年生だったQB竹内涼(4年)を中心に多彩な戦術を駆使して戦う少数精鋭チームだった。今季は1年生12名が入部。戦力が充実して6年ぶりの地区制覇に向けて準備をしている最中、セカンドステージ1回戦の6日前に火災が発生。試合に出られるかもわからない状況に陥った。

「1年間かけて準備してきた戦略が無駄になるかもしれない」

QB竹内は火災発生当時の心境を明かした。

警察の現場検証により火災の原因が部員にはないことが判明した6日の正午過ぎから試合に必要な用具を集めるために協力を仰いだ。普段から相談役として部に関わっているOB会理事の三瀬雄嗣氏の助言を受けながら同じ愛媛県内で活動する中四国学生2部リーグ所属の松山大学や中四国社会人連盟に所属する愛媛オレンジメン、高校フットボール経験者の元チームメイトに防具の借用を依頼。チーム公式のソーシャルメディアで用具の譲渡、貸与依頼を発信。支援を募ったところ、北は北海道、南は福岡まで全国から支援が瞬く間に集まった。ヘルメットを除く用具は二日後の8日までに全てが揃った。ショルダーパッドは部員26名に対して2倍近くの50体以上が集まった。安全面を考慮してヘルメットは新品を用意しようと、キュービィクラブに問い合わせたところ、火災発生の二日後には全員分のヘルメットを用意して担当者が大阪から愛媛大学グランドまで持参してくれた。加えてヘルメット、ショルダーパッドを含めた防具一式のフィッティングを二日間かけて実施してくれた。OBはヘルメット購入のために必要な代金を用意。支援金は100を超える団体・個人から集まった(金額は集計中)。

試合を行える目処が立ち、8日には防具なしの練習を実施。8日に行う予定だった防具を着用しての練習を11日に実施して練習時間を確保することもできた。

「何の問題もなく、試合に臨むことができました」と、石川は安堵のこもった声で明かした。

試合は島根大学を相手に7対9で惜敗。10月27日に行われた高知大学との順位決定戦は19対18で勝利して3位となった。

「こんなにたくさんの方が支援してくれるとは思ってもいませんでした。人と人との繋がりを強く感じました。支援してくださった皆様には感謝しかありません」

石川は支援してくれた全国にいるフットボーラーの『チームプレー』に感謝を述べた。

シーズン終了後、借用した防具は返却、寄付された防具は利用者に用途を連絡した上で、次の新入部員が使用できるように保管する。必要な用具を購入して残った支援金は愛媛大学に寄付して倉庫の修繕費にしてもらうように調整中だ。