選手・スタッフへのパワーハラスメント行為が認定されたサッカーJ1湘南の曹貴裁(チョウ・キジェ)監督(50)が退任することが決まった。スポーツ報知では「湘南・曹監督パワハラ辞任 検証」と題し、サッカー界に衝撃を与えたJリーグ初の事案について、3回にわたり緊急連載する最終回。

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 試合後のロッカールームは重い空気に包まれていた。自粛中だった曹氏のパワハラが認定された2日後、10月6日の第28節、川崎戦。チームは0―5で大敗した。前節の清水戦(0●6)からホームで2戦無得点11失点。曹氏はベンチ入りせず、復帰か否か、クラブ内処分の有無も含め、全て保留のまま試合を迎えていた。

 騒動発覚後、陰で通報者捜しをする選手がいたという。鎌をかけるような電話をかけ合うなど、疑心暗鬼の心境での試合を余儀なくされていた。ロッカールームで、こうした行為について激しい議論が繰り返されたという。

 そんな中、若手が声を上げた。矛先は幹部陣。「さっさと(監督を)切らないからこんな状態なんじゃないですか。こんなの選手ファーストじゃない。僕たちは勝ちたい」

 幹部は答えに窮したというが、目が覚めたのか、その2日後に監督退任と幹部の処分を発表した。監督と選手の間に立つゼネラルマネジャーや相談窓口の設置も決定。浮嶋敏新監督の就任も決まり、10日に新体制初練習を終えた主将のDF大野は「久しぶりにサッカーに集中できた」と語った。8月12日の騒動発覚から約2か月、クラブはJ1残留に向け、ようやく一つにまとまろうとしている。

 スポーツ界におけるハラスメント行為が次々問題になる昨今、ついにサッカー界、しかも国内最高峰J1のチームでパワハラ行為が認定された。時代は変わり、ハラスメント行為の許容範囲で、スポーツ界と一般企業の境目はなくなってきている。Jクラブは今回の一件を他山の石に、リーグ全体で根絶を目指していくべきだ。(特別取材班)