「セCSファイナルS・第3戦、巨人6-7阪神」(11日、東京ドーム)

 どちらを向くか分からない勝利の女神を、最後は自身の右腕で振り向かせた。チームメートがつないでくれた勝利への執念。ナインの汗を阪神・藤川球児投手は決して無駄にしない。CSファーストS第3戦以来となるイニングまたぎは、宿敵・巨人の反撃を完全に止める意地の2回零封。徳俵に足がかかっている虎を完璧救援で救った。

 薄氷上のせめぎ合い。序盤から落ち着かない試合展開で、主導権が一塁側と三塁側を往復する。右腕の出番は八回裏から。試合開始から4時間以上が過ぎていた。

 それでも、何事もなかったかのようにアウトを積み重ねる。「みんなが1点でも少なくつないでくれた。僕が、ということはない」。自身の仕事を誇る代わりに、チームメートの健闘を称えるところがこの男らしい。

 八回2死から厄介な亀井を迎えたが、最後は7球目の直球で遊飛。最終回も威力満点の直球とフォークを自在に操り、相手を手玉に取る。坂本勇、丸、岡本の3人をいとも簡単に料理する球児の姿が虎党の胸を打った。

 約束の舞台でもある。今季限りでの現役引退を表明している巨人・阿部と、レギュラーシーズン最後の対戦となった9月24日の試合で対戦して空振り三振。試合後「もう一回、対戦できるように頑張りたい」と話していた。この日の勝利で、再び真っ向勝負を挑める可能性が残った。

 矢野監督も「一番苦しい場面ってところでね。頼もしく思ってます」と全幅の信頼。今週2度目の2イニングにも藤川は「全然疲れていない。今年は全然イニングをまたいでいないから」と言う。その言葉が何より心強い。「ファンの方には1試合でも(多く)と思う」。反撃はここからだ。