<セ・CSファイナルステージ:巨人6-7阪神>◇第3戦◇11日◇東京ドーム

奇跡への猛虎劇場は終わらない。阪神が4時間を超える巨人との激闘の末、クライマックスシリーズのファイナルステージ第3戦で初勝利を挙げた。6-6の9回、大山悠輔内野手(24)が値千金の決勝ソロ。負ければ3連敗で今季終戦の土俵際、前日は出番すらなかった元4番が日本シリーズ進出への望みをつないだ。

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希望をつなげる一打が、右中間席最前列に飛び込んだ。大山は一塁を回り、二塁へ向かう途中で着弾を確認。「入ってくれと」。少しだけ頬を緩ませると、チームメートの待つ三塁側ベンチへ。監督、選手に迎えられ、もみくちゃになりながら祝福を受けた。

劇的な1発だった。同点で迎えた9回先頭。時刻は午後10時を回り、鳴り物の応援はなくなった。巨人6番手左腕中川の4球目。128キロスライダーをとらえた。押っつけて押し出した放物線は、ファンもベンチも歓喜のスタンドイン。一振りで激闘に決着をつけ、土俵際のチームを救った。

「自分自身、流れに乗り切れてないところはあった。けど、そんなのは関係なく、打席に入ったら自分のスイングをしようと。その結果、ホームランになったので本当によかったです」

CS男が苦しんだ。ポストシーズンは新人の17年に続く2度目の出場。当時は3試合に先発し、1本塁打を含む4打点、打率5割3分8厘の成績を残した。だが今季はDeNAとのファーストステージは7打数1安打で、3戦目には先発を外れた。巨人とのファイナルステージ第1戦も先発で3打数無安打。前日の第2戦は出番すらなかったが、7番でスタメン復帰して意地を見せた。

8日は東京ドームで行われた指名投手練習に休日返上で参加。ロングティーなどで調整を行った。出場機会がなかった前日10日のナイター後も、宿舎に帰って1人素振りに精を出した。 「負けたら終わり。やるしかない。結果が出てよかったです」

7回の第4打席で、ボテボテながら三塁内野安打で12打席ぶりHランプ。続く打席の劇的弾につなげた。

指揮官はシーズンの大半で4番任せてきた大山の一打に「よく打った。あいつも何かをキッカケにして欲しい。その部分の1本になれば」と笑顔。「こんなゲームは1人ではできない。またこれで、みんなと野球ができる。思い切り楽しんで、ジャイアンツを冷や冷やさせたい」と総力戦の勝利を喜んだ。「1個でいいと思っていない。4つ取ります」と全勝宣言だ。背番号3も気持ちは同じだ。「負けたら終わり。諦めることはないので、最後まで頑張ります」。過去16チーム中、プレーオフとCSで0勝3敗から逆転で日本シリーズに進出した例はない。奇跡への道は13日へつながった。まだ、終わらせない。【奥田隼人】