◆2019 セノン クライマックスシリーズ・セ 最終ステージ第2戦 巨人6―0阪神(10日・東京ドーム)

 メルセデスは闘志をさらに燃やした。1番から始まる6回。「気持ちを入れ替えて『特にここからだ』と序盤よりさらに、強気、攻めの気持ちを持って、一人もランナーを出さないという気持ちで投げました」

 今季は6、7回、100球を超えると制球が乱れだし、交代することが多かった。7回を投げきったのは7月6日のDeNA戦が最後。2勝4敗に終わった後半戦は6回1/3が最長だった。だが、CSで不安を払拭した。1イニングごとに気持ちを切り替えた。持ち前のコントロールは抜群で、直球、変化球も低めに集めゴロアウトを量産。7回を104球で3安打無失点。無四球6奪三振の快投で白星をもぎ取り「いい結果になって良かった」と笑った。

 CSでも“虎キラー”ぶりは健在だ。阪神戦は昨季から通算6戦4勝無敗、防御率は1・02。この日も好相性の相手に圧倒的な強さを見せた左腕に、原監督も「今シーズン一と言っていいんじゃないか。リズム、コントロールも球速も非常にあった。僕の知りうる限り、最高の投球をしたと思うね」と称賛した。

 今季は初の開幕ローテに入ったが、困難も多かった。支配下登録された昨季からデータも分析され、1軍の厳しさを改めて実感。普段は温厚だが、自己最短の1回2/3KOとなった6月1日の中日戦(東京D)では、自身への怒りからグラブをたたきつけた。結果が出ずファーム降格も経験した。

 だが、プラス思考は崩さなかった。誰からもかわいがられる左腕。同級生の桜井も「いつもポジティブで刺激になる」と話す。1年を振り返ったメルセデスは「(2軍でも)スタッフの方、チームメートが必ずまたチャンスは来るからと声をかけてくれた。自分自身も常に下を向かないでポジティブな気持ちでいた。周りにも助けられたよ」と感謝の言葉を残した。周囲への感謝の気持ちを述べるところもまた、彼が愛される魅力の一つなのだろう。

 日本シリーズでも左腕エースとして期待がかかる。大歓声に包まれたお立ち台で「日本シリーズで投げて、チャンピオンになれるように全員で頑張りたいと思います」と高らかに宣言した。(玉寄 穂波)