◆2019 セノン クライマックスシリーズ・セ 最終ステージ第2戦 巨人6―0阪神(10日・東京ドーム)

 巨人が阪神に連勝。対戦成績を3勝0敗(アドバンテージの1勝含む)とし、日本シリーズ進出に王手をかけた。光ったのは“足攻”だ。3点リードの5回1死一、二塁で重盗を成功させ、貴重なダメ押し点につなげた。2ランのゲレーロ、7回無失点のメルセデスら個々の力も充実。過去、無傷で王手をかけた全チームが日本シリーズに進出しており、突破率は100%だ。なお第4戦までもつれ込んだ場合、台風19号の影響で12日は試合は行わず、順延することが発表された。

 完全に盗んだ。二塁走者・亀井は覚悟を決めていた。5回1死一、二塁。丸への初球。背番号9は、島本が投球モーションを起こす前に、すでにスタートを切っていた。「常に塁に出たら図っていること。三盗はとにかく失敗できないので、決められたのは良かった」。捕手・梅野は三塁への送球を諦めた。一塁走者・坂本も遅れずについていき、完璧な重盗で好機を広げた。

 まさに“原マジック”と言える勝負手で試合を決めた。3―0の状況から「重く見た」4点目を、動いてもぎ取った。重盗の後、きっちりと丸が犠飛、岡本が右前適時打で走者をかえしたからこそ、際だった奇襲でもある。だから原監督は「非常に大きいよね。ああいうところで、その後に(岡本も走者を)残さずにね。まさにクリーンアップというかね」と“手柄”を3、4番にすべて譲ったが、結果論で言えば重盗がなければ点が入っていたかどうか、という場面。相手に与えたダメージも考えれば、ベンチ主導で奪ったこの回の2点は会心だった。

 指揮官には、3年間の「休息」を経て監督に復帰した今季、改めて気づかされたことがあるという。それはテレビでの観戦や評論・解説業でネット裏から見ているだけでは学べないことだった。

 「やっぱり匂いってあるよ。ベンチって戦場だから、そういうものが分かるんだよね。戦場であるが故に、チャンスの匂いが瞬時に来る。それを感じ取り、動けるかってところが一番難しいところ」

 この日で言えばそれはやはり、5回の攻撃に“匂った”。二塁走者・亀井の走塁センス。クイックでも足を上げて投げる島本。さらに左投げで二塁走者の動きは首を振らない限り、視界に入りづらい。条件が重なった瞬間に「チャンスがあったところで、それを見逃さなかった」と果敢に攻め、結実した。

 ソツのない攻撃に、投手陣も完封リレーと隙を見せずに連勝を飾り、アドバンテージを含めて3勝。6年ぶりの日本シリーズ進出に王手をかけた。過去に日本シリーズ進出をかけたプレーオフ、CSで無傷の王手をかけた例では、突破率100%とデータも力強く後押しする。それでも指揮官に慢心はない。「明日もまたフラットな形で戦う。保証も何もないわけだから。きょうと同じような精神状態でプレーボールを迎える」。下克上へと勢いを持って臨んできた猛虎をスイープし、一気に決める。その絵ははっきりと描けている。(西村 茂展)

 ◆巨人のレギュラーシーズンでの主な“足攻め”

 ▽5月1日5○1中日(東京D)

 初回に3点を先制してなお2死一、三塁で重盗、三塁走者・坂本勇が4点目のホームインで令和1勝

 ▽7月8日4○3阪神(甲子園)

 8回1死一塁、岡本に代走・増田大。けん制悪送球で二進、続く球で三盗。陽の打球でギャンブルスタートで三塁から決勝のホームイン

 ▽8月20日2○1中日(ナゴヤD)

 初回2死一、三塁から岡本、丸で重盗、三塁走者・丸が生還して2点目

 ▽8月24日8○6DeNA(東京D)

 11回無死一塁で投手・田口が打席へ。バントと見せかけバットを引いて重信二盗。2ボールから代打・石川がサヨナラ2ラン