強化体制の在り方を巡って選手と対立している全日本テコンドー協会が8日、都内で理事会を開催した。

 金原昇会長を含む16人の理事総退陣の意見も出たが、金原会長は「この問題自体が審議事項に当たらない」と議決を取るには至らなかったと説明した。午後1時から始まった理事会。当初は5時30分から会見が行われる予定だったが、6時30分、7時30分と2度延長されるほど紛糾した。結局、会長が会見したのは7時45分からだった。

 この日の会議では、強化策の改善案を議論し、小池隆仁強化委員長ら3人が退任し、強化委員の上部に強化管理部を新設することを決定した。ただ、それでは納得できない副会長の岡本依子理事と、アスリート委員長も兼ね選手側に立つ高橋美穂理事が金原会長も含めた理事の総辞職による体制刷新を求めたが、他の理事からは「(今後の)強化方針をしっかり決めて(今から)やるときに辞めるのが無責任だ」という意見が出たという。岡本理事、高橋理事はその場で辞意を表明したが、金原会長は「他の理事は『今後の強化を支えていくのが責任だ』と。他に辞める理事はいない」と説明。関係者によれば、2人に対して強い慰留も行われ、平行線の状況が続いたという。

 会議終盤の午後7時前には会議室から出てきた高橋理事が体調不良で倒れ、救急車で搬送される異常事態も発生。治療に当たったドクターによれば「迷走神経反射」とみられ、強いストレスによって自律神経を急に失調し、失神やめまいを引き起こすものだという。高橋理事が中座したことで、高橋、岡本両氏の進退は保留となった。

 金原会長は会見で「彼女たちは大変熱い思いをお持ちで、各人の意見は全て真摯(しんし)に受け止める。ただ、今は早急に五輪に向けて選手に素端らしい環境を与えるのが責務」と今の体制で競技環境を改善していく方向性を改めて強調したが、金原体制が維持されることで選手側が納得するとは考えにくく、先行きは不透明。東京五輪まで残り300日を切り、選手選考も本格化する中で、事態の収拾への目処は見えてこない。