「デイリースポーツホワイトベア賞・F1」(8日、福井)

 阪神タイガースの元投手で競輪選手に転向した伊代野貴照(38)=奈良・101期・S1=が福井F1でS級初優勝を飾った。

 11Rの決勝戦は中井太祐(奈良)マーク。打鐘前に出切ったが、加賀山淳(千葉)-大塚玲(神奈川)に出られてしまう。その後、中井は中団を確保。最終バックで今野大輔(愛媛)がまくり切ったが、その上を中井が猛然と踏み上げる。直線は中井と伊代野でマッチレース。1/2車輪かわした伊代野がうれしいS級初優勝のゴールを駆け抜けた。

 検車場に引き揚げた伊代野は、地区を問わず選手から「おめでとう」と声をかけられる。疋田敏(愛知)からは「(S級)初優勝なんや。何回もしとると思うとった。(初優勝は)い~よ~のう」と姓に引っかけたシャレで祝福されていた。

 伊代野は7日、宿舎の管理室でセ・リーグのクライマックスシリーズを観戦。「同学年の藤川球児が雨の中、頑張っていたじゃないですか。僕も松坂世代。(プロ野球を)辞めた選手も多いですが、やっぱり勇気づけられますね」。大雨の中、熱投して1点差を守り切った虎の守護神を見て、元虎戦士の伊代野は発奮。優勝をたぐり寄せた。

 今年2月10日、松山F1で落車。左骨盤骨折などの重傷を負った。2カ月の入院を経て、リハビリに励み、7月に復帰。S級1班に昇格したものの、なかなか結果が出なかったが、今場所は復帰初の決勝進出で、うれしい初優勝までもぎ取った。「復帰後、初めての決勝進出は『励みになる』と思いましたが、この優勝は『自信になる』でしょうね」。現在、G2・ウィナーズカップ(2020年3月26~29日・福井)選考期間中。この優勝でG2出場も近づいてきた。「それはそれでね」と言葉を濁すが、ファーストステージ勝利で勢いづく阪神タイガース同様、伊代野も破竹の勢いで競輪界を沸かせそうだ。

 伊代野は2002年にドラフト10巡目で阪神に入団。08年のオフに戦力外となり、台湾(兄弟エレファンツ)や四国アイランドリーグ(高知ファイティングドッグス)などでプレーした。その後、日本競輪学校(現・日本競輪選手養成所)に101期生として入学。12年7月に奈良でデビュー。16年1月にS級2班に昇格。いったんA級1班に降格したが、17年7月にS級2班に復帰。19年7月にS級1班に初めて昇格した。通算1着回数は147(602走)、優勝は19回(うちS級戦が1回、A級1、2班戦が7回、チャレンジステージが11回)。