◆第54回京都大賞典・G2(6日・芝2400メートル、京都競馬場、良)

 秋の古馬王道路線を占う京都大賞典・G2(芝2400メートル=1着馬に天皇賞・秋の優先出走権)は6日、京都競馬場で行われた。11番人気のドレッドノータスが好位3番手からゴール前で差し切り、3連単181万円馬券の大波乱を演出。師匠の管理馬では初めて重賞制覇を飾った坂井瑠星騎手(22)=栗東・矢作厩舎=は、3年10か月ぶりの重賞2勝目を挙げた同馬とともに、秋の天皇賞(27日、東京)でG1取りを目指す。

 前だけを見て、必死に何度も左ステッキを振り下ろした。最後の直線。坂井とドレッドノータスの前方には、逃げるダンビュライトしかいない。ラスト300メートルから追い出すと、追うごとに差は詰まっていく。「かわしてくれると思っていました」。ラスト100メートルで先頭に立つと、伸び脚が鈍ることなく、トップスピードで駆け抜けたゴール板。右の拳を力強く握りしめた後、相棒の首筋をポンと叩き、激走をねぎらった。

 ノーワンに騎乗した報知杯FRは同着で重賞初制覇。初めて単独で手にしたタイトルだが、胸の中は喜びよりも感謝の思いでいっぱいだった。「何より、師匠である矢作先生の馬で勝てたのがうれしい。重賞を一つ勝てて、少しは恩返しできたかなと思います」

 矢作調教師にとって、競馬学校からの卒業生を預かるのは初めて。「この子の人生を預かるつもりでいる」。追い切りやレース後に怒鳴ることもあれば、一昨年には豪州へ約1年間の武者修行にも出した。厳しく接してきたのは、一流騎手として活躍してほしい思いが強いからこそだ。今回は前日に師弟で練った作戦通り、内めの3番手からの追走で勝利へ導いた。

 「うまく乗ってくれました。瑠星で勝てたことが何よりよかったと思います」。この日は太め残りだった前走から12キロ減。勝負の仕上げに最高のエスコートで応えた弟子に対し、東京競馬場で見届けた矢作調教師は最大級の賛辞を贈った。

 今後は天皇賞・秋への参戦も視野に入る。「これから(重賞を)もっと勝っていきたいです」と22歳の若武者。二人三脚で紡ぐ師弟のストーリーはまだ始まったばかりだ。(山本 武志)

 

◆ドレッドノータス 父ハービンジャー、母ディアデラノビア(父サンデーサイレンス)。栗東・矢作芳人厩舎所属のセン6歳。北海道安平町・ノーザンファームの生産。通算27戦6勝。総収得賞金は2億1132万5000円。重賞2勝目。主な勝ち鞍は京都2歳S・G3(15年)。馬主は(有)キャロットファーム。