◆2019 ノジマ クライマックスシリーズ・セ ファーストステージ第1戦 DeNA7―8阪神(5日・横浜)

 クライマックスシリーズ(CS)第1ステージ(S)が開幕。セ・パともに3位のチームが先勝し、王手をかけた。セは阪神がDeNAに6点差を逆転勝ち。レギュラーシーズン6連勝の勢いそのままにプレーオフ(PO)、CS史上最大の大逆転劇を演じ、矢野監督は感極まって涙を浮かべた。パはPO、CSで最多タイの計6発が飛び交う空中戦を楽天が制し、リーグ最強投手・千賀に4発を浴びせてKOした。阪神、楽天は6日の第2戦に勝てば、最終S進出が決まる。

 不断の努力が実を結んだ。1点を追う8回2死二、三塁。北條は少し短く持ったバットを握り直すと、国吉のカットボールを振り抜いた。打球が中堅の頭を越える。夢中で三塁に滑り込み、左拳を突き上げた。起死回生の2点三塁打。プレーオフ、CS史上最大6点差の大逆転劇を完結させた。

 「打席入る前に福留さんと話して『今日は俺の日ちゃうから、お前行ってこい』と。決めたろ!と思って入りました」

 5点ビハインドの7回2死一、二塁では左翼席へ1号3ラン。自身初のCSで、08年の巨人・小笠原(6打点)以来リーグ2人目の1試合5打点と活躍したが、「点差が開いてもみんなに諦めない気持ちがあった」とチーム一丸の勝利を強調した。

 1年を通じ、平野打撃コーチから言われ続けたことがある。「くせ者になれ」。16年には122試合に出場したが、17年以降は100試合未満に減少。厳しい世界で生き抜くため、バント、右打ち、エンドランと打撃に制限をかけてまで自分を見つめ直した。相手に嫌がられる打撃が、最高の結果に変わった。

 試合前。矢野監督は裏方を含めた全員を集めて問いかけた。「周りはみんなここに来たことが奇跡だと言うけど、日本一になって初めて奇跡だ! ここから奇跡を起こそう!」。レギュラーシーズン6連勝でのCS進出に続き、これで“7連勝”。矢野阪神が目指すものはまだ先にある。

 セ・リーグでは過去12年、第1S初戦を制したチームが10度、最終Sに進んでおり、突破率は83%。5度の代打起用のうち4度で安打が出るなど采配も的中した指揮官は感激のあまり何度も声を詰まらせ、「全員で野球できたのがうれしい」と目を真っ赤に潤ませた。「明日決めるつもりで頑張ります」と背番号2。この奇跡は、まだ序章にすぎない。(中村 晃大)