「セCSファーストS・第1戦、DeNA7-8阪神」(5日、横浜スタジアム)

 想像を超えた。6点差をひっくり返すミラクル勝利。阪神・矢野監督は大きく心を揺さぶられた。試合終了の瞬間、三塁ベンチ前の柵を跳び越えそうな勢いで身を乗り出してガッツポーズ。会見では自ら切り出して、「どんな記事書いてくれんねん!?ホンマにすごい。選手がすごい」。興奮気味に話していたが…。冷静に試合展開を振り返るうちに感極まった。

 「全員で野球できたのがすごくうれしい。常々、苦しい時にどうするかとか、諦めないとか。うん…」

 天井を見上げたが、涙があふれる。うつむき、目頭を押さえて涙をこらえた。約20秒後。震える声で言葉を絞り出した。「そういう(全員)野球できた」。目を潤ませ、選手をねぎらい続けた。

 流れは最悪だった。試合前にジョンソンが緊急帰国。試合は初回に西が3点を先制され、1死も奪えないまま降板した。六回終了時点で1-7。敗戦を覚悟する展開だった。

 ただ、誰も諦めていなかった。指揮官も攻める姿勢を貫いた。「こんな試合は1人では流れを変えにくい」。七回1死から高山、木浪を連続して代打で送り、2人の連打で1点を返した。さらに北條の3ランで2点差まで追い上げると、タクトは激しさを増す。

 八回2死一塁から、2盗塁を絡めて北條の決勝打を演出。「見ようによって誰もがヒーローにもなるような試合やった」。ベンチに残ったのは投手1人、野手2人。まさに総力戦だった。

 「明日(6日)決めにいく。うちは全員が戦力で、全員が必要なんで」。手に掛けた巨人への挑戦権は、一気に手中に収める。