◆第98回凱旋門賞・仏G1(10月6日・芝2400メートル、パリロンシャン競馬場)

 【ニューマーケット(英国)1日=ペン・松浦拓馬】JRAの海外馬券が発売される仏G1凱旋門賞(6日、パリロンシャン競馬場)で、注目を集めているのは史上初の3連覇がかかる英国のエネイブル。前走のヨークシャーオークスでG1タイトルを10に伸ばした世界最強の女王について、実際に対戦した日本のホースマンなどに見解を聞いた。

 97回の歴史で史上初の凱旋門賞3連覇に挑むのは、英国の最強女王エネイブルだ。8月22日のヨークシャオークスを快勝。獲得したG1タイトルは10を数える。日本の競馬サークルでも話題を集めているが、複数の関係者から興味深い証言を得られた。

 騎手時代に日本初の牝馬3冠をメジロラモーヌで達成した河内調教師は、数々の名牝にまたがった経験談を踏まえて、「やっぱり根性が違う。自分のやるべきことがしっかり分かっている馬。無駄な走りを一切しないし、鞍上(デットーリ)も世界で3本の指に入る名手」と分析する。

 一方で、牝馬特有の難しさにも言及した。「牝馬は急に母馬になる瞬間がある。調教では分からないし、突然楽することを覚えてしまうんだよね。順調に使えていると、そういう面は見せない。その点でエネイブルはコンスタントに使っているし、前走から40日くらいなら、大丈夫だと思う」。実際に、英国の女王は毎日違う環境でトレーニングを積んでいる。それは牝馬特有の難しさを出さないための工夫でもあるようだ。

 友道調教師は自身が管理するシュヴァルグランと実際に“キングジョージ”で対戦している。「並んでからどこまで行っても抜かせないところがすごい。正直、体だけ見れば『この馬、走るの?』と思うぐらい」といまだに驚きを隠せない様子だった。

 英国競馬に精通する矢作調教師も「昨年は苦肉の策といえるローテだったと思うけど、それでも結果を出すんだから、どれだけ強いんだという話だね」と指摘。さらに「さらにすごみを増しているというイメージ。何やっても勝っちゃうじゃない。逃げてもいいんだし。そういうことができるのが本当のトップホースだと思う」と舌を巻いた。

 牝馬3冠のアパパネやアーモンドアイを管理する国枝調教師は「エネイブルは超一流だから、一般論にはあてはまらない」とレベルの違いを示唆。それでも「アーモンドとの対戦は見たかったかな」と、日英の女傑対決が実現することを夢見ていたが…。

 日本馬にとって最大のライバルには間違いない。史上初の偉業が成し遂げられるか、それとも世代交代を告げる新たなスターが誕生するか。「10・6」から目が離せない。

 ◆エネイブル 父ナサニエル、母コンセントリック(父サドラーズウェルズ)。英国・Jゴスデン厩舎の牝5歳。ジュドモントファームの生産。通算14戦13勝。獲得したG1は英オークス、愛オークス(17年)、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS(17、19年)、ヨークシャーオークス(17、19年)、凱旋門賞(17、18年)、ブリーダーズCターフ(18年)、エクリプスS(19年)。馬主はハリド・ビン・アブドゥラ殿下。