多数の選手が強化合宿を“ボイコット”するなど、強化体制のあり方を巡って対立が鮮明化している全日本テコンドー協会が1日、都内で協議会を行い、金原昇会長ら幹部や選手、所属関係者ら約40人が出席して意見交換を行った。東京五輪代表候補でもあるトップの強化選手6人が出席したが、話し合いは平行線に終わり選手2人が途中退席。男子80キロ級の江畑秀範(スチールエンジ)は「今の体制についていけないし、話を聞いていても仕方がないので(途中で)出てきました」と不満をぶちまけた。

 選手側は、かねて合宿に参加しなければ強化指定から外されることや、所属の指導コーチとは別の代表コーチが試合のセコンドに入るといった強化体制に疑問を抱えており、今年6月に「意見書」として提出した。しかし期限までに回答はなく、不信感が募る中、9月に予定されていた強化合宿では招集された選手の大半が参加を見送るなどあつれきが顕在化。協会は先月18日になって、ホームページ上で意見書への回答を公表した。

 ところが、先月末に国際機関であるワールドテコンドー(WT)から今回の騒動について事情を聞かれた際、全日本協会は選手にヒアリングをした上で「選手から回答書に対する不満はない。選手らは困惑していない」と答えたといい、見解の相違がより深刻化したという。

 この日行われた話し合いでは、選手側の意見を述べるとともに、協会側からは回答書の説明や、今後の強化プランなどの意見交換を行った。協会は今回の議事録を基に8日の理事会で改善を図るというものの、ずっと問題点を訴えてきたにもかかわらず放置されてきた選手側の不信感は拭えなかった。

 しかも、ある理事からは「会長は本当に選手のことを考えている。全日本テコンドー協会ほどガバナンスがしっかりしている団体はない」という発言があったといい、「なぜ(選手は問題を)ここまで大きくしたのか?だったらもっと早く(不満を)言ってくれ」と問い詰められたという。

 江畑は「選手のことを本当に考えていたらそんな発言は出てこない」と憤りをあらわにし、「選手たちは協会への信頼はないですし、この現状が続くなら、東京五輪も近いので自分たちでしっかり頑張るしか切り替えるしか道はないんじゃないか」と半ばあきれムード。他のトップ選手も同調しており、15年世界女王の浜田真由(ミキハウス)は「今までうやむやになってたが、ここからは切り込まないと。(トップ選手としての)責任がある」と話した。

 会見に臨んだ全日本協会の金原会長は「選手と協会とのコミュニケーション不足があった。これからは改善していきたい」と問題の原因が見解のズレにあったと説明。「今日は選手の声もしっかり聞けて、有意義な議論ができた。選手の意見を真摯(しんし)に受け止めて、やりやすい環境を整えたい」と強調したが、「強化委員はよくやっている」と体制の刷新には否定的だった。