大相撲初場所で引退した元横綱稀勢の里の荒磯親方(33)の引退相撲が29日、東京・両国国技館で開かれ、超満員御礼1万1000人の観客が最後の横綱土俵入りに沸いた。断髪式では父・萩原貞彦氏からはさみを入れられ男泣きした。8年前に亡くなった先代師匠の故鳴戸親方(元横綱隆の里)の誕生日に新たな門出。オールバック風の新ヘアの親方は先代師匠の教えを胸に初代若乃花から続いて“4代連続横綱”の育成へ意気込んだ。

 大拍手と久々の「稀勢の里」コールが聖地に響いた。断髪式では幼少期から厳しく鍛えられた父のはさみにこみあげた。“戦友”の横綱白鵬、元横綱日馬富士ら約300人がはさみを入れた。17年の土俵人生を思い何度もほおの涙をぬぐった。

 グッズはあっという間に完売し、「過去最大」と部屋関係者もビックリ。03年、元横綱貴乃花の引退相撲と同じ1万1000人が詰めかけた。「お世話になった方に感謝。さみしいけど声援に最後まで支えられた」と荒磯親方は感無量だった。

 最後の横綱土俵入りは「日本一!!」の大合唱。本人は「ミスった。(新横綱で)初めて土俵入りをした時も左足で四股を踏んだ。最初と最後が一緒。初心に戻りました」と苦笑いしてうまくまとめた。「すっきりした」とオールバック風の髪も満足。くしくも先代師匠の誕生日に新たな人生を踏み出した。

 部屋付き親方として弟弟子の大関高安を横綱に引き上げるのは使命。「タイミングもある」と将来は部屋独立も視野に入れる。初代若乃花、先代師匠、自身と継承した横綱道。“4代”へと横綱の系譜をつなぐ夢がある。

 「横綱の気持ちも精神力も教えていく。僕が育ったように育てたい。逃げない、正々堂々、一生懸命やり続けること。それがピンチで出る。しっかりつなげる」と力を込めた。