開始35秒、電光石火のDGで先制したウェールズが、さらに勢いを増したのは前半12分のトライだ。

 ラインアウトから連続攻撃を仕掛ける。身長196センチ、体重118キロのロック、主将のA・ジョーンズがゴール前へ。必死で阻止する豪州が思わず危険なタックルを犯した。ウェールズのSOビガーはアドバンテージを生かし、右コーナーへ思い切りよくキックパス。呼吸を合わせたCTBパークスが押さえた。

 バックスが創造性を発揮できるのは、34歳になった主将の体を張ったプレーがあるから。この日、伝統のウェールズ史上初めてキャップ(代表同士の試合出場数)を130の大台に乗せた。2006年の代表デビュー以来、欠かせぬ存在でW杯は4大会連続出場だ。選手の戦術的交代が当たり前になった中、ベテランはフル出場の献身で、豪州の追い上げをしのぎ切った。

 英国西部のラグビーが盛んな土地柄だが、W杯の最高成績は第1回(1987年)の3位止まり。今年は欧州6カ国対抗で全勝優勝し、期待は膨らむ。「これからも危険なチームと対戦する。しっかり準備しないと」。伝説となりつつある大黒柱が、先を見据えた。(森田博志)