陸上の世界選手権男子5000メートル予選で西アフリカの小国ギニアビサウの代表選手の行為が競技場の観客の喝采を浴びた。

 27日に行われた予選1組でダントツの最下位を走っていた同国のダボが、ラスト1周で前方を走っていた選手の異常に気づいた。その選手は脱水症状からか、ふらついたり、けいれんを起こしたりしていたため、ラスト250メートルくらいから肩を貸し、抱えるようにして一緒にフィニッシュした。助けられた選手は失格となったが、大きな拍手がわいた。

 レース後、ダボは「彼がフィニッシュするのを助けただけ。誰だってあの場合は同じことを考えると思う」と笑顔。助けた選手はカリブ海に浮かぶアルバの代表。2人とも参加標準記録を破るほどの実力はないが、「陸上弱小国」でも最低1人は、いずれかの種目に出場できる枠を使ってドーハにやってきた。アルバの選手からは「ありがとう」と感謝されたという。

 トップの選手がフィニッシュしてからおよそ5分。熱気を帯びたスタジアムにさわやかな風が吹いた。(ドーハ=堀川貴弘)