バルセロナがおかしい。

 大量得点で快勝したかと思いきや、あきらかな格下相手に苦戦し、敗れる。第5節、0-2で敗れたグラナダ戦の体たらくは、2007-08シーズンや2011-12シーズン、2016-17シーズンの試合ぶりに喩えられさえした。それぞれライカールト、グアルディオラ、ルイス・エンリケ最後の年、すなわち一時代の終わりである。

 勝率を上げられない理由は順位表に現れている。

守備も攻撃も連係不良が明らか。

 ひとつはディフェンスの脆さだ。

 第6節終了時点での総失点は10。この段階で2桁に達したのは1996-97シーズン以来のことである。過去2シーズン、バルベルデのバルサは味方がボールを持っているときもライン間の距離に気を配ることで守備を安定させてきた。そのコンパクトな布陣が今季は見る影もないため、誰か1人のしくじりが致命傷となってしまう。

 おまけに注意散漫。連係不良。

 特に両サイドバックと周りの関係が磨かれておらず、失点のほとんどに左右どちらかのミスが絡んでいる。

 もうひとつは攻撃の拙さ。

 総得点は今季も多い。開幕6試合で14ゴールは20チーム中最多である。が、5得点したベティス戦やバレンシア戦でさえ、攻め方そのものは完璧には程遠かった。

 ボール支配率は昨季の平均を上回っている。けれどパスを繋ぐスピードが遅く、滑らかでもない。意思疎通とポジショニングが不完全で、相手の裏をかく仕掛けもない。よって決定的なゴールチャンスはなかなか作れない。

 バレンシア戦では開始7分でスコアを2-0にしたものの、その後ハーフタイムが訪れるまでに枠内に飛んだシュートはゼロだった。続くCLドルトムント戦では48分にスアレスが、グラナダ戦では82分にメッシがそれぞれ1本ずつ放ったのみだった。

中盤の構成さえ見直せば。

 ただ、これらには簡単かつ即効性のありそうな対策がある。

 中盤の構成の見直しである。

 今季はアレニャやラキティッチ、ビダル、アルトゥールが出番を減らし、ブスケッツが休息をとらされる一方で、昨季まで主にサイドバックを務めていたセルジ・ロベルトが何度も使われている。

 新加入のデヨングに至っては、ポジションを変えながら第6節まで全試合で起用されている。それを昨季の並びに戻せばオートマティズムも戻り、ライン間の隙間も減り、攻守ともに一旦は改善されるはずだ。

アウェーでことごとく勝てていない。

 しかし、3つ目の問題はそれほど単純ではない可能性がある。

 4月23日に行われた昨季、第34節のアラベス戦からこちら、バルサはホームゲーム以外では一度も勝っていないのだ。

 昨季中の4試合(リーガ2試合、CL準決勝第2レグと国王杯決勝戦を3敗1分け)はまだ容赦できよう。リバプールを倒してCL決勝へ進むための準備と、その失敗によるショックという事情があったからである。だが新シーズンを迎えてもアスレティックに敗れ、オサスナ戦とCLドルトムント戦に引き分け、グラナダ戦でまた敗れたとなると……。

 現在のバルサはカンプノウを離れると威勢を失う。敵がボールを持つと、追い込むのではなく一歩下がって構える方を選んでしまう。

「我々は敵をうまく囲んでタイミングよくプレスをかけられると調子が上がるチーム。今日はそのプレッシングがうまくいかず、影響が出た」

 ドルトムント戦後バルベルデはこう釈明したけれど、不甲斐ない試合をしたのは「今日」だけではない。

 先述のCLリバプール戦敗北が未だ尾を引いているとしたらどうだろう?

グリーズマン「勝手が違うから」

「アウェイゲームは勝手が違うから。観客がプレッシャーをかけてくるし、相手は自信をもって伸び伸びプレーする」

 同じくドルトムント戦後、チームの不出来をこう言い訳したのは、他でもない、百戦錬磨のグリーズマンである。敵意に満ちた空気を何度も経験してきた彼が今更「アウェイゲーム」に言及したのは、カンプノウ以外のスタジアムでチームメイトに生じる異変をいよいよ感じたからかもしれない。

 見当外れならよいが、そうでない場合は厄介だ。

 三冠獲得を目標とするバルサには攻守の機能不全解消による対症療法の他、レジリエンス(逆境力)を強化する根治療法も必要になる。

(「リーガ・エスパニョーラ最前線」横井伸幸 = 文)