「スプリンターズS・G1」(29日、中山)

 今年は関西の3厩舎が“2頭出し”。なかでも、梅田厩舎のレッツゴードンキとファンタジストは、実績と勢いのバランスが絶妙。ともにスプリント適性は高く、展開ひとつで突き抜けるシーンがあっても驚きはない。岩田康&武豊という、ベテランの手綱さばきも見ものだ。ドンキは“経験”を、そしてファンタジストは“若さ”を武器に、主力を形成する4歳世代に待ったをかける。

 梅田厩舎がJRA・G1初制覇を果たしたのが15年桜花賞。レッツゴードンキが鮮やかに逃げ切った。「当時はアドマイヤラクティが(豪州遠征中に)亡くなってしまった後で、ショウナンマイティもなかなかG1に手が届かなくて。あの勝利に救われた」と梅田師。厩舎に光をもたらした、ドンキへの感謝の思いは尽きない。

 桜花賞馬も、気がつけば7歳秋を迎えた。「ひいきしてはいけないけど、これだけ付き合いが長いと…ね。今年も頑張ってほしい」。高松宮記念とヴィクトリアマイルに続き、このスプリンターズSにも4年連続で参戦というタフネスぶり。「牝馬でこれだけ状態を維持するのはなかなかできないこと。ぶっつけになるけど、ここにきてだいぶ馬がピリッとしてきた」。4度目の挑戦で久々の戴冠に期待する。

 一方、3歳馬のファンタジストは復帰戦の北九州記念こそ大敗を喫したが、叩き2走目のセントウルSで2着と一変した。「仕上げるよりも、競馬を思い出させることを重視していた。勝ち馬にはちぎられたけれど、こちらは3歳で伸びしろがあるし、まだ状態面の上積みも望める。あの差を何とか縮めたい」。虎視たんたんと逆転を狙っている。

 人と馬とは、不思議な縁で結ばれている。「13年の安田記念でマイティ(2着)がやられたのが、岩田(康)君のロードカナロア。その岩田君がドンキに乗って、カナロア産駒のファンタジストで臨むのだから…何とも不思議だよね」。きのうの敵はきょうの友-。時空を超えた、ドラマチックな結末が待っているかもしれない。