今週末、阪神競馬場では神戸新聞杯(GII、芝2400メートル)が行われる。3歳馬によるオープンレースで、3着までに菊花賞(GI、京都競馬場、芝3000メートル、10月20日)の出走権が与えられるトライアルレースである。

 実際、牡馬クラシック最後の一冠を目指す馬たちがエントリーしており、中でも注目されているのが、ヴェロックス(牡3歳、栗東・中内田充正厩舎)であり、サートゥルナーリア(牡3歳、栗東・角居勝彦厩舎)だろう。

 2頭はともに春の二冠、すなわち皐月賞(GI、中山競馬場、芝2000メートル)と日本ダービー(GI、東京競馬場、芝2400メートル)でしのぎを削った間柄。1冠目の皐月賞ではサートゥルナーリアが見事に優勝。ホープフルSに続く2度目のGI勝ちを飾ってみせた。

 これに対しヴェロックスは2着に敗れたがその差はわずかにアタマ。ほんの少しの流れの差で、「どちらが勝ってもおかしくなかったのでは?」と思える競馬だった。

2頭の実力は拮抗している。

 それを証明したのが続く日本ダービーだった。皐月賞での1着と2着という数字面が大きく影響したか、オッズはサートゥルナーリアが1.6倍の圧倒的な1番人気に推されたのに対し、ヴェロックスは4.3倍で少し離れた2番人気だった。

 しかし結果はヴェロックスが3着でサートゥルナーリアは4着。2番手から早目に抜け出したロジャーバローズがそのまま好タイムで押し切るという当日の特異な馬場の影響もあり、どちらも勝てはしなかったものの、皐月賞での差は逆転した。

 ちなみにその差は半馬身。この時はヴェロックスが乗り慣れた川田将雅騎手だったのに対し、サートゥルナーリアは主戦のクリストフ・ルメール騎手が騎乗停止中ということで、短期免許で初来日となったダミアン・レーン騎手が手綱を取っていた。

 川田騎手が既にダービージョッキーであるのに対し、レーン騎手は当然、日本ダービーに乗るのも初めて。そういった差を考慮すると、やはりここもほんの少しの差でどちらに転んでもおかしくなかったといえる結果。2頭の実力が拮抗していることがよく分かった。

サートゥルナーリア陣営の自信。

 さて、そんな2頭の陣営は、ともに秋初戦でこの神戸新聞杯を選択してきた。

「ひと回り成長して牧場から帰って来た感じです」

 そう語るのはサートゥルナーリアを管理する角居調教師だ。ここはあくまでも前哨戦とはいえ、負けても良いから叩くだけという気は毛頭ないと続ける。

「もちろん次につながる競馬をすることが大切ですけど、その上で勝つレースをして欲しいです」

 日本ダービーでは一度完全にヴェロックスを外からかわしながらもゴール前で差し返されて先着を許した。あの競馬ぶりだけを見ると、距離に不安があるのかとも感じてしまうが、それに対してはかぶりを振る。

「そんなことはないと思います。やみくもに掛かってしまうような気性でもないし、調教の感じからも距離は大丈夫。とくに心配はしていません」

次につながる競馬をした上で勝つ。

 言われてみれば日本ダービーは1番人気ということもあり、3~4コーナーを大外から早目に進出する形。多少強引ともいえるレース運びだったので、最後に失速するのも仕方ない。あの一戦をもって距離不安を口にするのは早計だったかもしれない。

 先に紹介した角居調教師の「次につながる競馬をした上で勝って欲しい」という気持ちは勿論、中内田調教師を始めとしたヴェロックス陣営も同じことだろう。

 最後の1つの椅子を巡り、両頭がまずはどのような前哨戦を披露するのか。はたまたこの2頭にまとめて待ったをかける第三の馬が現れるのか。神戸新聞杯は9月22日、阪神競馬場の第11レース。どんな結果であろうと、次を考える上でワクワクするようなレースになってくれる事を願おう。
 

(「競馬PRESS」平松さとし = 文)