「フィギュアスケート・オータムクラシック」(13日、オークビル)

 男子ショートプログラム(SP)は冬季五輪2連覇の羽生結弦(24)=ANA=が98・38点で今季初戦を首位発進した。昨季と同じSP「秋によせて」は冒頭の4回転サルコーで回転不足となって転倒したが、その後のジャンプは圧巻の内容。3回転半と4回転-3回転トーループを成功するなど、高い出来栄え点(GOE)を獲得した。

 フィニッシュのポーズを解いた羽生がいの一番に見つめたのは、ジャンプで転倒した位置だった。ピアノの旋律が響く中、演技冒頭の4回転サルコーで転倒。会場には悲鳴にも似たため息が漏れた。

 「(ジャンプに)入る前に駄目だった。あっ、違うなと思った」。それでも転倒後は気持ちをうまく切り替え、今季求める演目の「完成形」へ期待が膨らむ演技を披露した。

 2季連続で用いるSP「秋によせて」で、高めたいのは演技の質。踏み切り前と着氷後に片足ターン「ツイズル」を入れたトリプルアクセル(3回転半)は、羽生が「ひと味違った入り方。どうしてもやりたかった」とこだわった。ジャッジ4人が出来栄え(GOE)で5点満点をつけ、GOE3・68点の評価は現行の採点方式(11段階)になって以降、単独のトリプルアクセルで自身最高。4回転-3回転の2連続トーループでも、コンビネーションジャンプでは自己最高3・99点の加点を獲得した。

 ミスについても、原因は明確だ。ジャンプ担当のジスラン・ブリアンコーチは「(軌道が)内側に入って回りすぎた」と分析する。羽生自身は3月の世界選手権のSPで回転が抜けたことが脳裏にちらついて力んだといい「世界選手権の失敗をちょっと引きずっているかな。考えすぎた」と苦笑いしながらも、冷静に受け止めた。

 「完成させたかったが、まだ、ここで完成させんなよって言われた感じもした」と羽生。五輪王者は着実に進化を遂げている。