最も回したくない打者をピンチで迎えた。12日のDeNA戦(横浜)。巨人2点リードの3回1死一、二塁で打席にソトが入った。四球で歩かせるには、塁が埋まっている。勝負するしかない状況だった。

 4球目、低めのワンバウンドする変化球を小林がわずかにはじく間に、二塁走者の乙坂だけが三塁へ。1死一、三塁と状況が変わった。ただ、ソトのカウントは3ボール1ストライク。バッティングカウントで簡単にストライクを取りに行ったら危険度は高い。それでもバッテリーはベンチの指示で勝負を挑んだ。

 捕手の小林が左腕・高橋に要求したのはチェンジアップ。スクリューともシンカーとも称される高橋の得意球だった。外角でタイミングを外して遊ゴロ併殺と最高の形に。この試合のターニングポイントだった。

 走者二塁や二、三塁という状況で強打者を四球で歩かせることはよくある。この場面は一、三塁。とはいえ、ソトは前日11日に巨人投手陣から3本塁打し、この試合も第1打席に40号ソロ。今季カード12本塁打の天敵で、手がつけられないような状態だった。走者が三塁にいった時点で四球で勝負を避け、満塁にしてでも次打者の宮崎と勝負、という考えが浮かんでもおかしくないが、原監督に四球の考えは全くなかった。

 「歩かす選択肢はないですね。歩かすと満塁という形になるでしょ。(走者)一塁、三塁という中で歩かしというのはないですね。そんなんだったら最初から勝負に挑んでいるというのは全くないですね」

 思い切って勝負したからこそ、打ち取れた。勝負を避けて満塁にしていたら試合展開も、今後のソトとの対戦も、全く違う状況になっていた可能性もある。原監督の勝負勘、迷いのない采配と決断力。それに応えた高橋・小林のバッテリー。流れは巨人に大きく傾いた。野球の奥深さ、1球の重みが凝縮された対決だった。