「阪神10-3ヤクルト」(11日、甲子園球場)

 “引っぱたいた”という表現がぴったりの一撃だ。五回、福留が追加点となる適時打を放った直後、1死二塁の場面でマルテが悠然と打席に向かう。

 高めに浮いた小川の直球を逃さず、フルスイングで捉えた打球は打った瞬間、それと分かる左翼席中段への2ランに。「いいコンタクトだったね」と自画自賛する一発でチームの勢いを加速させた。

 甲子園では7月23日のDeNA戦以来、8月10日に4番に座ってからは初の一発だ。掛布を筆頭に強打者が受け継いできた「虎の背番号31」が、4番打者として聖地でアーチを架けたのは2003年8月28日・巨人戦での広沢克実以来、16年ぶりとなった。

 有言実行の一打だった。試合前練習の移動中だ。ご機嫌のマルテが日本語で言い放った。「ゼッコーチョー!オレガヤル!!」。その言葉通りの豪快な一撃は大山と並び、チームトップとなる12号。球団は来季も残留させる方針で進めている中、ダメ押しとも言えるアピール弾にもなった。

 9日には一時は名コンビとして躍動したソラーテが“造反行為”により契約を解除され、その日のうちに帰国した。「もちろん、悲しい気持ちはあるさ…」と一瞬は感傷に浸ったマルテだが、力強く言葉を続けた。「それでもチームでやっているんでね。今いる仲間で戦うことの方が大事だと思う」

 矢野監督も「マルちゃんが打つと盛り上がる」と目尻を下げる。一方のマルテは「自分のホームランよりも試合に勝てたことの方が大きい」とあくまでもフォア・ザ・チームの精神を強調した。日本人的な心を備え、語彙(ごい)力も日々アップする助っ人は、お立ち台でファンに誓った。「アシタモ、オレガヤル!」-。