<阪神10-3ヤクルト>◇11日◇甲子園

阪神ジェフリー・マルテ内野手(28)が放った打球は、勢いよく左翼スタンドへ消えていった。

「最近の試合はいい感触で打てていた。今日は1打席目からなかなかリズムがつかめなかったけど、手応え十分なホームランだったよ」

5回1死二塁、ヤクルト小川の直球を強振すると、マルテは確信したかのように打球を見つめた。チームトップタイの今季12号。8月10日広島戦(京セラドーム大阪)から座る4番の仕事を果たし、来季残留へ大きなアピール弾となった。

新助っ人による激震が、チームに走ったばかりだった。6日広島戦(マツダ)から1軍合流予定だったヤンハービス・ソラーテ内野手(32)が、モチベーションが上がらないことを理由に緊急帰阪。そのまま契約解除となり9日に帰国した。7月途中に来日した助っ人による前代未聞の事態。「もちろん悲しい気持ちはあるけど、チームなので残りの仲間で戦っていくほうが大事だよ」。騒動に惑わされることなく、マルテはチームのために全力を尽くしている。

同じ立場の助っ人がシーズン途中に加入。それでもマルテは腐らなかった。ソラーテが本塁打を打てば、誰よりも先にベンチで祝福し、活躍には「自分のことのようにうれしい」と話した。マルテ自身も同じ経験がある。加入直後の春季キャンプでは、2年目のエフレン・ナバーロ内野手(33)がずっとそばにいてくれた。練習前のアップでは常に一緒。野球談義も交わした。ライバルとなる存在のサポートに、マルテは感謝の気持ちを持っていた。

コンスタントに安打を重ね、打率は2割8分8厘まで浮上。「いいコンタクトだったけど、それより試合に勝てたことがうれしいよ」。逆転CSには、真面目な助っ人のバットが欠かせない。【磯綾乃】