正直なところ、(日本対ミャンマー戦の)2-0というスコアに物足りなさを覚える人が多いかもしれません。でもきっちりとゲームコントロールして、勝ち点3でワールドカップ予選のスタートを切ったことが何より大事。やれることを冷静にやりきった90分と言っていいでしょう。

 試合開始時点では土砂降りで、ピッチコンディションは良くない。その中でもロングボールを使いつつ、落ち着きを失わずにボールをキープしていました。そして雨が止んでからはチーム全体でボールを動かすなど、状況に合わせた戦い方ができていた。

 その中で中島(翔哉)が得意とする左サイドからカットインしてシュート、堂安(律)のクロスに対して南野(拓実)が上手く相手マーカーの死角に入り込んでのヘディングシュートと、早めの時間帯に2列目の3人が特徴を出してゴールを奪いました。もし0-0の状態が続けば、ピリピリとした雰囲気になりかねなかったところで、落ち着いて試合を運べましたね。

“中だるみ”する時間帯はほぼなかった。

 ゴールこそ2点にとどまったけど、ミャンマーに対してカウンターの芽すら作らせなかった。ミャンマーが跳ね返したセカンドボールを、橋本(拳人)、吉田(麻也)、冨安(健洋)らが確実に拾ってマイボールにする。ここでスリップしたり相手と入れ替わる形でボールを奪われるのが一番怖いですが、そのようなシーンはほぼなし。実力差があるとはいえこのようなプレーに安定感があったからこそ、慌てることなく試合を運べていました。

 後半は無得点に終わりました。確かに3、4点目を取れるチャンスがあったことは事実。ただしサイドを起点に攻撃を仕掛けたり、途中出場の伊東(純也)の走力を生かすような裏へのパスを送るなどの工夫があった。また守備に移った際も、ボールを素早く奪い返すコンセプトも徹底していて、チーム全体が“中だるみ”するような時間帯はほぼありませんでした。

荒いプレーにもカリカリしない。

 そして「ケガをしないで90分間を終える」とはよく言うところですが、プレーの集中力を保った上で、それができていたことは評価していいと思います。

 ミャンマーは大迫(勇也)や中島らに対してアフター気味でタックルしてくるなど、ストレスを感じてもおかしくないシーンが何度かありました。そんな荒いプレーをされてもカリカリすることなく、相手をいなしていた。

 また"ケガをしないように時間を進めよう"と考えていると、本人にはその意識がなくても、消極的なプレーが増えることがある。例えば「相手が深いスライディングを仕掛けてくるから、ドリブル突破は控えておこう……」といった感じですね。だけど中島、途中出場の伊東や久保(建英)は不要なファウルは受けないようにしつつ、シュートチャンスまで持ち込めていましたね。

「状況に合わせた戦い方をする」

「状況に合わせた戦い方をする」

 こう表現するのは簡単です。

 ただし実際、90分間通じてそれを表現することは意外と難しいし、それを成し遂げたチームには頼もしさを覚えました。

 W杯2次予選は対戦相手との実力差がある中で、特にアウェーでは気候やスタジアム環境など、イレギュラーなことが起きがち。そういったことにも動じずに戦えるかが重要なことです。

 そういった意味では堂々とした姿勢をチームが見せてくれたことは、アジアカップやコパ・アメリカなどを経てたくましさを増した証拠ではないでしょうか。

(構成/茂野聡士)

(「福西崇史の「考えるサッカー」」福西崇史 = 文)