ヨーロッパ王者を決するUEFAチャンピオンズリーグは、いよいよ9月17日からグループステージの幕が開ける。

 昨季は「世界最高リーグ」に位置づけられながらチャンピオンズリーグでは結果が伴わなかったイングランド・プレミアリーグ勢が躍進。出場4チームすべてがベスト8に残り、そのうち2チームがベスト4に勝ち上がる快進撃を見せて、リーグとしての充実ぶりと層の厚さをはっきりと示した。

 もっとも、トッテナムとの同国対決ファイナルを制してリバプールを14年ぶり6度目の欧州王座に導いた指揮官ユルゲン・クロップはこんな言葉で「プレミアリーグの時代」を否定する。

「チャンピオンズリーグで優勝するための手段なんてあり得ない。我々にも他のクラブと同じだけのチャンスがあり、それがすべてと言える。イングランドのチームがチャンピオンズリーグを支配できるとは限らない」

 グループEに組み込まれたリバプールは、昨季に続くグループステージでの対戦となるナポリ(イタリア)、ザルツブルク(オーストリア)、ヘンク(ベルギー)と対戦。最大のライバルは、組み合わせ抽選後にクロップが「まただ!」と苦笑いしたというナポリだ。連覇を狙う現王者の新たな戦いは、9月17日、攻略が難しい南イタリアのアウェイ戦からスタートする。

南野はすっかりザルツブルクの顔。

 今大会に出場する日本人選手のうち、ザルツブルクに在籍する南野拓実と奥川雅也は、グループステージでこの2チームと戦うことになる。

 在籍6年目となる南野は、今やすっかりチーム内屈指の古株となり、今シーズンはアメリカ人の新指揮官ジェシー・マーシュが率いるチームの中核として大きな期待を寄せられている。

 2-0と勝利したラピード・ウィーンとの開幕戦で値千金の先制ゴールを決めると、主に4-4-2システムのサイドMFとしてスタメンの座を確保。国内リーグでは第6節終了時点で5試合出場3得点2アシストと活躍し、不動の地位を築こうとしている。

W杯アジア予選前に語った決意。

 2015年に加入してレンタル移籍を繰り返していた奥川にとってもそうだが、南野にとって今季は勝負の1年だ。ザルツブルクのエースとしてリバプールやナポリを相手に存在感を示し、ステップアップの道を切り開きたい。そんな意気込みについて、ワールドカップのアジア予選を控える日本代表に合流した南野はこう話した。

「チャンピオンズリーグに出るチャンスがあり、僕はそれを魅力的に感じました。チームに残ったことを良い選択にしたいし、良い経験をしにいくのではなく、何か自分の実力を示せればと思います。もちろん、次の高いレベルに行きたいという気持ちもあります。チャンピオンズリーグで良いプレーをすれば、つながると思います」

伊東純也のスピードは通用するか。

 奇しくも同じグループEに組み込まれたヘンクには、日本代表のスピードスター、伊東純也が在籍する。

 昨季後半からチームに加入した伊東は、最大の武器である爆発的なスピードが欧州で通用することを証明している。

 ベルギー王者の一員として迎えた2年目は、4-3-3システムの右サイドアタッカーとして開幕戦からスタメン出場。6試合に出場して3アシストを記録しており、その評価は右肩上がりだ。日本では“チャンスメーカー”の印象が強かったが、ベルギーに渡ってからはフィニッシュのシーンにも多く絡むようになり、ゴールへの強い意欲も伝わってくる。

「チャンピオンズリーグかヨーロッパリーグでプレーすることが僕の夢。その夢を叶えるために、多くのオファーを受け取った中で、ヘンクがベストだと思いました」

 わずか半年前、欧州挑戦のスタート地点としてヘンクを選んだ理由をこう話した伊東は、チャンピオンズリーグの開幕を心待ちにしているだろう。

 その開幕戦の相手が南野と奥川が在籍するザルツブルクとなった。“日本人対決”のモチベーションも小さくないはずだ。

 リバプール、ナポリと比較すればヘンクは格下だが、だからこそ突出した“個の力”はピッチで際立つ。そのスピードでグループEの勢力図に異変をきたすことができれば、自身の成長にとっても大きな後押しとなるに違いない。

長友は「CL感満載の組み」に興奮。

 そして、日本人プレーヤーとして最も豊富な経験を誇るガラタサライの長友佑都は、パリ・サンジェルマン(フランス)、レアル・マドリー(スペイン)、クラブ・ブルージュ(ベルギー)と同居する本人いわく、「CL感満載の組み」を戦うことになった。

 組み合わせ抽選を受けて、長友は自身のtwitterで興奮を表現した。

「CLでレアルとパリSGと対戦できるなんてアツすぎる。CL感満載の組みに入ったね。笑 ワクワクしてきたわ! どの選手とマッチアップできるのか楽しみすぎる!」

ファルカオ加入など戦力アップ。

 トルコリーグは第3節を終了し、昨季王者のガラタサライは1勝1分1敗と出遅れている。

 それでも、今夏の移籍マーケットではイングランドのブライトンからルーマニア代表FWフロリン・アンドネ、サウサンプトンからガボン代表MFマリオ・レミナをそれぞれ1年間のレンタル移籍で獲得。さらにフランスのモナコからコロンビア代表FWラダメル・ファルカオを獲得し、チャンピオンズリーグ開幕前に大幅な戦力アップに成功した。

 新戦力が多くチームとして機能するまでにある程度の時間を要する可能性はあるが、チャンピオンズリーグのような大舞台でこそ力を発揮しそうなタレントが何人もいる。

 それを強みに変えることができれば、ガラタサライはグループステージ突破の有力候補であるパリSGやレアル・マドリーを脅かす存在になれるかもしれない。まずはクラブ・ブルージュとの初戦を制して、勢いに乗りたい。

 2010-11シーズンにはインテルの一員として8強入りした経験を持つ長友は、日本代表合宿でこう話した。

「海外に行くことが成功じゃない。ビッグクラブで結果を残すことが成功。それができるように、自分自身まだまだやっていきたい」

 欧州王者を決めるファイナルは2020年5月30日。長友にとって現在の“ホーム”であるイスタンブールで行われる。
 

(「欧州サッカーPRESS」細江克弥 = 文)