「阪神4-5ヤクルト」(10日、甲子園球場)

 重苦しいムードが漂う試合後の通路。引き揚げる敗者の列の中で、阪神・藤川はあえて暗い表情を見せなかった。「厳しい戦いですが、ファイティングポーズを崩さないでやっていくしかない」。まだ終わったわけではないと、その顔が物語っていた。

 先発の秋山が三回で降板する流れ。必死に中継ぎ陣がスコアボードに「0」の数字を並べていく。球児がバトンを受け取ったのは同点の九回。ヤクルト・雄平を1球で二ゴロに打ち取ると、一発のある村上には丁寧な投球が続いた。カウント2-1から3球続けて直球をファウルにさせた後、渾身のフォークで空振り三振に。続く中村には1-2から4球直球を続ける力勝負で、二ゴロに仕留めた。

 9日には2度目となる海外FA権を取得。この日が通算759試合目の登板となり、皆川睦雄(南海)に並び、歴代8位の数字とした。また、あと5回を自責点0ならば、NPB通算防御率が1点台に突入。「いいモチベーションになる」と球児が唯一、こだわる数字が見えてきた。

 「お客さんのためにやっていくというのは変わらない。続けて頑張っていくだけです」。痛恨の敗戦で沈むチームの雰囲気を振り払うかのように、ベテラン右腕は前向きな言葉で締めた。