<楽天6-4オリックス>◇9日◇楽天生命パーク

苦労人がイーグルスを救った。楽天ルシアノ・フェルナンド外野手(27)がオリックス戦の7回、代打で起死回生の同点適時打を放った。

昨オフに支配下から育成契約となり、7月31日の期限ギリギリで支配下復帰を勝ち取った男が土壇場で結果を出し、チームを1日で勝率5割復帰に導いた。

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重苦しい雰囲気を、フェルナンドがひと振りではね返した。1点ビハインドの7回。先頭浅村が三塁打で絶好機を演出も、続く藤田と茂木が倒れて2死。代打下水流が四球でつないでも、平石監督の見立てでは「7対3、8対2くらいで向こうの流れ」。そんな重圧のかかる場面に「『オレにチャンス来い!』としか思ってないんで」と言ってのけた。誘い球のチェンジアップを見切り、狙っていたカットボールを左前へ。「自分は主力じゃない。1打席1打席が勝負。腹をくくっていったのがよかった」と白い歯をのぞかせた。

平石監督の2軍監督時代には、チームバスの中で指揮官のためにバースデーソングを熱唱した陽気な男。「自分が後ろ向きになることはない」と言い切る。7月28日に同じ育成から由規と寺岡の支配下登録され「今年、自分は(支配下は)ないんだと思った」。一瞬だけ楽天のユニホームで野球ができるのも今季限りかもしれないとよぎったが、すぐに思い直した。「誰か、他球団の人が見ていてくれるかもしれない」。気持ちを切らさず、結果として、最終日に復帰を勝ち取った。「『あいつは終わった』とか言われたりすることもあったけど、神様は見ていてくれたのかもしれない」。どんな時も下を向かず、逆境で開き直れるハートの強さがある。

平石監督も「今日はフェルナンドですよ。よく打ってくれた」と熱っぽく繰り返し、ヒーローをたたえた。その言葉を伝え聞き、うれしそうにした後で表情を引き締めた。「余裕なんてない。呼ばれた時に自分の仕事をして、信頼を勝ち取っていかないと」。スタメン出場した前日は第3打席まで無安打も、9回にヒットを放った。試合後に同じ外野手の小郷が2軍行きとなり「最後に打っていなかったら、自分が2軍だったかもしれない」。明るい笑顔の裏で危機感と闘い続けながら、1軍に食らいつく。【亀山泰宏】