◆広島3―2阪神(8日・マツダスタジアム)

 一塁ベンチから背番号5が飛び出すと、待ってましたとばかりに客席のボルテージが上がった。涙ぐむファンの姿もある。今季132試合目。敵地も含めて初めて「広島・長野」がお立ち台に登壇した。「ちょっと遅くなったので、申し訳ない気持ちしか…」。語尾は大歓声にかき消された。

 移籍後4度目の4番に入った長野が決めた。3回2死から西川、菊池涼の連打と鈴木の四球で訪れた満塁のチャンス。低めチェンジアップを左前に運んだ。今季最長の5試合連続安打は移籍後初の2試合連続適時打。「みんな2死からつないでくれた。僕も何とかマッちゃん(松山)につなごうと打席に入った結果。いいところに転がってくれた」とチームメートに感謝した。

 移籍が決まった直後の今年1月。自主トレ先の米国で新天地の情報を収集した。関係者から携帯番号を入手し、赤松にも連絡を取った。「チームのことを聞きました。ファームでも1か月一緒にやって野球に対する姿勢をね(学んだ)」。胃がんを克服した2学年先輩は7日に引退表明。「打てて良かった」と寂しそうにつぶやいた。

 3回の守備では木浪の左翼線への当たりをスライディングで好捕。先発のジョンソンに「ヤングマン!」とたたえられた。緒方監督も「このところ中軸でいい打撃を見せてくれている」と最敬礼だ。2位・DeNAとは1ゲーム差。スタンドでファンが掲げたプラカードには「マツダでCSが見たい」の文字。その夢、赤チョーさんが実現します。(田中 昌宏)