「広島3-2阪神」(8日、マツダスタジアム)

 勲章だった。ケガなく、弱音も吐かず、マスクをかぶり続けた日々。阪神の梅野が出場116試合目にして今季110補殺をマークし、セ・リーグ新記録を打ち立てた。「光栄です」。うれしい知らせに、少しだけほおを染めた。

 捕手に補殺が記録されるのは盗塁阻止や、バント処理などに限られる。そのため捕手でシーズン100補殺以上を記録したのは、1963年の南海・野村克也ら過去11人しかいない。また投手陣の中には青柳やドリスなど、打球処理後の一塁送球に不安を抱える投手もいる。だからこそ補殺は、バッテリーを組む仲間を献身的に助けてきた動かぬ“証し”だ。

 この日は盗塁阻止こそなかったが、3度の補殺を記録した。五回のメヒア、六回は石原、代打・会沢がいずれも振り逃げを狙ったが、ワンバウンド投球を処理して一塁へ転送。空振り三振を完成させた。これで辻恭彦(阪神)、谷繁元信(中日)の持つ109を超え、リーグ新記録を樹立。試合後には「狙って狙えるものでもない」とし、「盗塁阻止だったり、できることをやっていくだけです」と前を向いた。

 プロ6年目を迎える今季、梅野は28歳になった。投手陣を見渡せば、後輩選手が増えた。7月2日のことだった。中継ぎに転向していた小野が今季初失点。1アウトしか奪えず降板した右腕の元へ、すぐさま駆け寄ったのが梅野だった。

 「次やり返そうな」

 そう力強く声をかけた。打たれたときも、抑えたときも一番の味方でいるのが正捕手の役目だ。梅野は言う。「シーズンもまだ終わっていないので、1試合1試合の中でコツコツとやれるように」。54年・土井垣武(東映)の持つプロ野球記録まであと9補殺に迫った。支え合って挑むバッテリーとしての戦い。残り15試合。投手との二人三脚で、今度は日本記録を刻む。