「広島3-7阪神」(7日、マツダスタジアム)

 後輩の涙を勝利へとつなげた。阪神・西勇輝投手(28)が8回3失点の力投で7勝目。負ければ自力CS進出の可能性が消える一戦で白星をもぎ取り、3位・広島とのゲーム差を再び2・5に詰めた。前日の試合で4回6失点と乱れ、ベンチで涙した高橋遥の思いを継いだ右腕。逆襲は終わらない。

 大黒柱としての自覚と後輩の無念を白球に込めた。土俵際に追い込まれた猛虎を西が救った。「何とか連敗にならないように、と思っていました」とチームの期待に応える粘投で7勝目。負ければ自力CSの可能性が消滅する一戦で、自身の役割を果たした。

 打線の援護に恵まれないマウンドが続いたが、三回までに7点をプレゼントされた。だが「勝った」という雰囲気が漂うマウンドには、難しさもつきまとう。だからこそ「今日は『中継ぎ』じゃないですけど、ヒットを打たれても次のバッターを抑える」意識で腕を振った。

 その思考法が奏功し、走者を出しても3度の併殺打でピンチの芽を摘んだ。八回は無死一、二塁で鈴木を遊ゴロ併殺打に仕留め、両手を上げて感情を表現した。「ヒットを打たれてもそこまでピンチに感じることなく、長いイニングを投げることができた」と充実感を漂わせた。

 勝たなければならなかった。前夜は先発の高橋遥が4回6失点KO。ベンチで左腕が流した涙に西の心が動いた。「『火がついた』じゃないですけど、ああいう悔しい思いをしている遥人の気持ちもあった。ずっとアイツが頑張っていたのを僕らは見ていたので」と闘争心をかき立てられた。

 西にとって23歳の高橋遥は「自分の5、6年前の選手」という位置。西自身は先発ローテを数年間守り「そろそろ自分でやらなアカンな」という意識が芽生えた時期だった。

 だから普段の会話では「自分で考えてやっているか」を問う。「若い頃に『こうしておけば』ということが今思うと多い。教えることをできるのがいい勉強になる」と西。自身の経験を伝えることが後輩のためになり、自分にもプラスに働く好循環が生まれている。

 矢野監督は3戦目に向け「本当に総力戦で。明日、ウチは行くしかないんでね。思い切って全員で行こうかなと思います」と死力を尽くす構えを言葉に乗せた。西は「みんなで乗り切って明るくいけば去年と違うぞ、というのが見えてくると思う。何とか全員で戦っていきたい」と意気込む。魂の102球がチームとファンの夢をつないだ。