イタリアのクラブと全日本では、チームにおける自分の立場や役割が異なるため「勝つ」という強い思いは同じですが、試合に対する気持ちのつくり方も異なります。イタリアでは、厳しいプロの世界で生き残っていくために「チームメートもライバル。とにかく自分のベストを発揮する」というモチベーション。一方、全日本では海外で経験を積む数少ない選手の一人として「自分の経験をチームに還元して、チームの勝利に貢献する」ということを考えます。

 イタリアでも全日本でも試合前のルーチンはあえてつくっていません。その理由は競技の特性にあります。バレーボールは相手チームからボールを受けて、ボールをつなぎ、相手コートに打ち返すスポーツ。相手チームからのボールが攻撃のスタートになりますが、そのボールはどこに来るか分かりませんし、チームメートからのボールもその都度異なります。すなわち勝つためには、どんな状況であっても安定して高いパフォーマンスを発揮できる「対応力」が必要です。

 きっかけはリオ五輪出場をかけた世界最終予選でした。過去に経験したことのない雰囲気や緊迫感の中で「いつも通りプレーする」ということがどれだけ難しいかを痛感した。同時にどんな変化やストレスにも対応できるスキルを身につけることが、最高のパフォーマンスにつながると気付きました。

 東京五輪まで1年を切り、やるべきことは山ほどあります。自分を含めてチームメートのほとんどが五輪を経験したことがありません。世界との差を埋めるために必要なのは、各選手のスキルアップと、どんな状況においても自分たちのバレーができる対応力だと思います。自分自身も、できる限りの準備を積み重ねていきたいと思います。

 ◆石川 祐希(いしかわ・ゆうき)1995年12月11日、愛知・岡崎市生まれ。23歳。姉の影響で小4から競技を始め、愛知・星城高で2年連続高校3冠。2014年に中大入学。同年、全日本男子チームに(当時)最年少で招集された。卒業後はプロとなり、18-19年はイタリア1部シエナに在籍、19-20年は同パドバでプレー予定。192センチ、85キロ。