21日に行われたIFSCクライミング世界選手権のコンバインド男子決勝は、各種目で上位につけた楢崎智亜が圧勝。7位以内かつ日本人最上位の条件もクリアして、東京2020オリンピックの日本代表内定を決めた。以下、決勝を戦った選手たちのコメント一…


 21日に行われたIFSCクライミング世界選手権のコンバインド男子決勝は、各種目で上位につけた楢崎智亜が圧勝。7位以内かつ日本人最上位の条件もクリアして、東京2020オリンピックの日本代表内定を決めた。以下、決勝を戦った選手たちのコメント一覧。

優勝:楢崎智亜
「こんなにうまくいくとは思わなかった。びっくりしてはいるが、今日が一番体の状態はよかったと思う。感覚的にも優勝できると思っていた中での優勝だった。最初のスピードで流れに乗れた。一回戦が(弟の)明智だったことが僕にとってはよかった。明智とは勝っても負けても恨みっこなしと話していて、いつも通りの相手だったので落ち着いてできた。2回戦は持ちタイム的に相手の方が速かったので緊張したが、そこでベストを出せたのがよかった。予定では最後に5秒台を出して勝とうと思ったが失敗した。野口選手から『コンバインドは本当にメンタルの勝負。最後まで気持ちを切らさない人が勝つ』と言われたが、その通りだと思った。ここで代表枠を獲得したことで、みんなより自分のやりたいことに専念できるのでそこは有利だと思う」

「(コンバインドの決勝で勝つために必要なことは?)8人の中にスピードの選手が絶対に入ってくる。この1年練習してもスピードの選手に必ず勝てるくらいまで成長できるかと言われると難しい。ただ、チャンスがあるというくらいまではタイムを縮めておくことは必要だと思う。ボルダリングはできない課題を少なくしていくこと。リードはミスがないようにオブザベーションできるようにすることと、単純に持久力をつけること。(日本でなかなか勝てなかったが今大会で2冠を取れたことについて)一気に呪縛が解けた気がする。一番大きい舞台でこうして勝てたことが嬉しい」


4位:原田海
「一言で言うなら悔しい。力を発揮し切れなかったことが一番悔しい。スピードは正直、メンタル的なところがあって、今日が一番集中できた。でもボルダリングでズレが生じた。そこがボルダリングの難しいところ。課題が苦手だったこともあるが、決め切れない自分もいるのでそこも敗因だったと思う。(決め切れなかったのは技術だけでなく、気力などの部分も関係あるのか)それはある。そこが足りてなかったかなとも思う。去年よりフィジカルは付いたと実感しているし、メンタルも成長している。ただ、結果は去年の方がよかった。今回は東京五輪に向けてみんな人生を懸けてきているということを感じた」


5位:楢崎明智
「チャンスを逃してしまった。リードはアップの段階で調子が良さそうだったので、良い高度まで稼げると思っていた。出し切れなくてすごく悔しい。(リードで落ちた場面については)ヒールフックをつま先に変えるときロープに足が入って絡まってしまった。五輪出場が懸かっていることは意識していなかった。五輪は(兄の)智くんで確定だと思っていたので、僕は表彰台を狙っていた。それを逃してしまったことが悔しい。クライミングをやっていてこんなに悔しいのは初めてだった。絶対に強くなろうと決めた。『智亜を倒せるのは明智しかいない』と言われるくらいになりたい。ボルダリングで順位を稼げて、スピードで自己ベストが出せたので、トゥールーズの五輪予選(11月)に出られるとしたらそこへ向けての自信になると思う」


6位:藤井快
「残念。それに尽きる。最初のスピードから展開が悪かった。ボルダリングで挽回しようと頑張ったが叶わずだった。自分のトレーニング不足、実力不足だと改めて感じた。スピードはミスが多く、体と気持ちがズレている感じだった。緊張感もあったし、最近上部でのミスが多くてそこへの不安もあった。3レースやって2回同じようなミスをしているので、不安を最後まで消し切れなかった。ボルダリングもリードも引き出せる範囲では引き出していたつもりだが、100%の力を出せたかというとわからない。全種目においてまだまだ勝負ができないことを今回感じた。安定した順位が出せてもその先は周りの順位に依存する展開になっていた。すべてにおいてベースアップしないと、金メダルはまだまだ遠い」


2位:ヤコブ・シューベルト(オーストリア)
「コンバインド決勝前に既に2つのメダルを獲得できていたし、オリンピック出場も決めていたので、さらにもう一つコンバインドでメダルを獲得できてうれしい。(完登したリードについて)最も得意としている種目なので楽しみだったし、その時点で順位も良くなかったのであまりプレッシャーはなかった。(今大会のスケジュールについて)全体的にかなり長い大会だったけど、コンバインドを迎える前はレストデイもあったし大きな問題はなかった。反対にボルダリングからリードに移る大会前半の方が連続した日程だったので、リードの後はかなり疲れていた。もうすこし良いパフォーマンスが出せたかなと思うが、ボルダーでの消耗が大きかった。(オリンピックへの目標は)今は出場権を得られたし、今年の残りの期間は少し休んでから準備していきたいと思う。オリンピックに出場するからにはメダルを獲りたい」


3位:リシャト・ハイブリン(カザフスタン)
「大きな舞台で3位という結果、またオリンピック出場権を獲得できてすごくうれしい。スピード種目が好きでタイムも良いけど、自分はスピード専門ではない。ボルダーもリードもトレーニングしている。オリンピックでは何とか勝ち残りたい。トモアはすごく強いクライマーだと思う。スピードもかなり速くなってきているので、自分も負けないようにトレーニングしていきたい」


7位:ミカエル・マウェム(フランス)
「オリンピック出場が決まってすごくうれしい。オリンピックに向けての最初のステップとしては完璧なんじゃないかと思う。まずは2週間の休暇を取って、それからオリンピックに向けて3種目のレベルを上げていきたい。スピードが得意だが、日本人選手もスピードが速くなってきているので負けないようにレベルアップしていきたい。もちろんボルダー、リードも。(優勝した楢崎智亜について)彼は全てのレベルが違うと思う。トモアは一昨年も、去年も強かったけど、今年に関しては3種目でかなりの強さを発揮している。自分も追いつけるよう頑張りたい」

CREDITS

取材・文

篠幸彦、編集部 /

写真

窪田亮