20日に行われたIFSCクライミング世界選手権のコンバインド女子決勝。7位以内でオリンピック出場権獲得、日本に限っては日本人最上位がオリンピック代表内定となる注目の一戦で2位に入り、東京2020オリンピックの日本代表内定を決めたのは、長年日本のクライミング界をけん引してきた野口啓代だった。以下、決勝を戦った選手たちのコメント一覧。

2位:野口啓代
「本当に夢のようでまだ信じられない。スピードは本当にみんな緊張していて、日本人選手みんなでミスしてしまった。落ち込んでいたが、私はスピードで勝負ではないし、タイム的には6位での全体7位だったのでそれほどダメージは受けなかった。とにかくボルダーで1位を取りたいということだけ考えていた。(そのボルダーは)自分でもびっくりするくらい登っているときに落ち着けていて、今シーズンの中でも一番良い登りができたと思う。コンバインドの中でだが、今シーズン初めてボルダーで1位を取れたことは大きかった。リードは完登したヤンヤや秋彩ちゃんと比べて、ゴール取りの時点で疲れていたので完登する余力はなかった。終了点の一手前までいけただけでも奇跡的だったと思う。どの種目でも本当に声援がすごくて嬉しかった」

「(現役最後と決めている五輪の舞台に立てることが決まったが)あと1年間クライミングができることが嬉しい。今回決まらなかったら(オリンピック選考大会の)フランス(11月/トゥールーズ)や来年のアジア選手権(5月/盛岡)は出るか決めていなかったので、今回決まらなかったらわからなかった。(今回取れなかったら五輪は諦めていたという意味か?)その考えもあった。取れなかったときのことは考えていなかったが、最後は日本で引退したいと決めていたので。(五輪までの1年をどうするか)全種目の実力を上げなければいけない。コンバインドのリード課題はそれほど難しくないので、完登すればタイムで勝てる可能性もある。スピードが苦手なのでまだまだ上げなければいけないと思う」


5位:野中生萌
「日本人4人が残ったことでかなり熱い戦いだったと思う。一人一人、ラウンドごとに色んな感情や流れがそれぞれにあって、なにより啓代ちゃんの粘り強さを感じた。それを間近で見て心から嬉しいと思ったし、よかったと思う。(日本人2位になったことについて)嬉しい。でも本当なのかなという思いもある。力は出し切ったがスピードでミスが多く、もっと良い形はあっただろうなと思うが、それがコンペの難しさだと改めて感じた。スピードでは日本人全員が不発で入ってしまって、実際にそれが響いてしまった。肩は痛み止めを飲んでいた。怪我をしている中で今のベストは尽くせたと思う。(スピードからボルダーへの切り替えはどうだったか)やらかしたなと思っていた。ただ、もちろんこういうこともあり得ることなので、あまり乱されずに『まだチャンスはある』と思いながら全ラウンドやっていたし、ボルダーもひと課題、ひと課題切り替えてやっていた。11月のトゥールーズに出なくて済んだことで、もう一度肩をしっかりと治し、(残り一枠の五輪代表を決める来年5月の)コンバインドジャパンカップに向けて一から出直したい。今回代表内定を逃したことでダメということはない。まだチャンスはある」


6位:森秋彩
「リードを完登できたことは嬉しいが、結果的に6位だったので悔しい気持ちでいっぱい。ボルダーが終わったときに総合でビリだったので、リードを登るときは完登して1位を取るしかないと思っていた。一昨日の予選と同じように絶対完登するという気持ちで登った。(11月のトゥールーズに向けては)今回は得意なリードで良い順位を取るという作戦だったが、それでは通用しないということがわかった。ボルダーとリードに力を入れて総合的な強さをもっと上げたい。大会前は五輪を諦めていた部分もあった。でも戦ってみると東京五輪の切符が見えたり、遠ざかったり、近づいたり、切符が狙えそうなときが何度もあった。大会前より東京五輪に出たいという気持ちが強くなった」


7位:伊藤ふたば
「スピードの1回戦で緊張して、手も震えてうまくいかなかった。自分はスピードで良い順位を取らなければいけないので、そこで失敗してしまったのが今回の敗因だと思う。今大会は(今年5月の)コンバインドジャパンカップのときのように、スピードの失敗をボルダリングに引きずるようなことはなかった。決勝を全力で楽しもうと臨んでいたので、スピードのあとも楽しんでやろうと頑張って登った。ボルダーは強い選手はゴール取りまでいけたら決め切る力があるが、自分にはそれが足りない。(野口選手について)決め切るところはしっかり決め切るし、最後のリードの登りを見てすごく感じるものがあった」


優勝:ヤンヤ・ガンブレット(スロベニア)
「コンバインドの予選後は体力、メンタルともにすごく疲れていて、決勝での結果については想像できなかった。スピードでもボルダリングでも良いスタートは切れなかったが、気持ちを冷静に保つことで全てのラウンドを楽しめたし、夢のような結果が得られた。リードの競技前はTOPをとらないと1位になれないとわかっていたが、ナーバスになることはなかった。100%の力をだして、ルートを楽しめればと思っていた。日本の観客の前で登れることもうれしかったし、実際にルートも良くて楽しめた。この1週間色々なことがあった中でオリンピックの出場権が得られてうれしい。今はプレッシャーもなくオリンピックで登れることを楽しみにしている。できる限りの準備をしてメダルを獲得したい。でもやっぱり一番大切なのは楽しむこと」


3位:ショウナ・コクシー(イギリス)
「予選のリザルトについては全く予想していなかった。クライミングは何が起こるかわからない部分が多く、コンバインドは特にそれが顕著だと思う。今日はスピードで自己ベストを出せると思っていなかったし、ボルダー、リードも良い登りができた。優勝したヤンヤは素晴らしいクライマーであり一緒に戦えてうれしい。長いこと第一線で活躍していて、すごいと思う。ここからスポーツクライミングもオリンピックに向けて前進していくが、出場権を得られてすごくラッキーだったし、あと一年なのでしっかり準備していきたい。日本のファンはとてもフレンドリーに歓迎してくれるし、食事もすごく好き。声援も多く力になっている」


4位:アレクサンドラ・ミロスラフ(ポーランド)
「私はスピードが専門で、今大会は単種目での金メダルにフォーカスして準備してきていたので、コンバインドでのこの結果は想像していなかった。すごく難しかったが、良い戦いができたと思う。(他のスピードスペシャリストと比べて良い結果が得られた要因は)やっぱり得意なスピードで1位をとれたことだと思う。予選でスピード2位の(アヌーク・)ジョベールも今のフォーマットでは全体11位で敗退してしまった。(スポーツクライミングがオリンピック競技に決まった時の気持ちは?)コンバインドはこれまで挑戦してこなかった種目でもあるので、少し迷ったというのが正直な気持ち。ボルダリングとリードも少しは練習することもあるけど、そこまでハイレベルなものではない。オリンピックでは決勝のステージに立ちたいので、ボルダー、リードも練習してもう少しレベルアップしていきたい。幸運なことにまだ時間もある。ポーランドに戻ってからプランを練りたい」


8位:ペトラ・クリングラー(スイス)
「オリンピック出場が決まって(※)すごくうれしい反面、決勝については残念な結果になってしまいがっかりしている。でも学ぶべき点もあったしポジティブに考え、来年また東京に戻ってくることを楽しみにしている。アスリートとして、大会に出場する際は常にメダル争いをしたいと思っているので東京オリンピックでもその目標は変わらず挑戦したい。メインフォーカスするのはやはりボルダリングだが、3種目ともしっかり準備して楽しめればと思っている」

※8位だが上位に日本人が4名いるため繰り上げでのオリンピック出場権獲得が濃厚

CREDITS

取材・文

篠幸彦、編集部 /

写真

窪田亮