欧州のサッカーリーグが新シーズンを迎えました。各国のトッププレーヤー、クラブの情勢も気になるところですが、今回は欧州でプレーする注目の日本人選手をピックアップしたいと思います。今季も多くの選手が海を渡りましたね。

 まずは期待が懸かる東京五輪世代の選手から。前田大然や安部裕葵らアタッカーが海外移籍を実現させましたが、その中でもオランダのトゥエンテに移籍した中村敬斗に期待しています。

 リーグ開幕戦のPSV戦では、いきなりゴールという結果を残しました。左サイドから切り込んでシュートという得意な形での得点シーンは、チャンスが来たら間髪入れずに狙ってやるという意気込みがハッキリと現れていました。

 ガンバ大阪のスタッフから意識が高い選手だと聞いていましたが、U-20W杯を経験して、より海外に出たいという気持ちが膨らんでいたのでしょう。

 五輪世代では堂安律や安部らライバルが多いポジションですが、小柄な選手が多い中で身長180cmとサイズもある。スケールの大きさを感じています。流動性あるサッカーが主流となる現在のオランダリーグでどういった成長を遂げるのか、注意深く見守っていきたいです。

伊東純也の幅が広がっている。

 オランダ同様に、多くの日本人が在籍するベルギーリーグの注目はレギュラークラスとしてポジションを得ている伊東純也でしょう。長所はなんといっても「スピード」ですが、最近はフィニッシャーとしての力も付いてきました。緩急の使い方のうまさとともに、ボールの受け方や前線へ飛び出すタイミングも磨きがかかっています。

 ただ2シーズン目に当たる今季は、対戦相手に研究される場面も増えてくるでしょう。さらに、チャンピオンズリーグという1つ高いレベルの戦いにも身を置くことになるので、コンディションの調整も重要になってくると思います。新たな壁を乗り越えて、もうひと皮むけたプレーヤーになってほしいです。

冨安はロナウド、ルカクと勝負を。

 ベルギーリーグは欧州の中でもステップアップのためのリーグという位置付けで見られることが多いですが、まさにその好例として挙げられるのがセリエA・ボローニャに移籍した冨安健洋です。

 彼の良さは「賢さ」。ポジショニングやボールを奪取するタイミングが素晴らしい。ヘディングも強いですし、フィード面なども認められての移籍でしょう。守備の国と言われるイタリアですから、当然CBとして厳しい目で見られるでしょうし、対峙するFW陣のランクも上がります。

 ミハイロビッチ監督の下、速さ、高さ、強さに優れた強者をどう封じ込めるのか。今、一番期待が大きい日本人選手でしょうね。クリスティアーノ(・ロナウド/ユベントス)やルカク(インテル)との対戦も楽しみですね。

中島、南野は結果を残したい。

 冨安と同様に、森保ジャパンの主力に定着した中島翔哉、南野拓実の動向も気になるところです。

 中島が10番を背負う名門・ポルトは組織的なサッカーを展開していて、個人的にすごく好きなチーム。働ける選手をしっかり育てるというクラブの考え方が良い方向に進んでいる。昨季のCLもベスト8まで残りました。

 中島はウイングなのか、インサイドハーフなのか、使われ方はまだはっきり見えていませんが、ポルトガルリーグは経験済みですし、違和感なくできるだろうと思います。

 南野は6シーズン目を迎えるザルツブルク(オーストリア)で好調なスタートを切っているようですね。表情もたくましさを増した印象です。

 今季はCLに予選からではなく、グループステージから出場できるので、どんなプレーを見せてくれるかとても楽しみです。自チームでの活躍は森保一監督が一番大事にしているところ。彼らの活躍は必然的に森保ジャパンの強化につながるでしょう。

個人練習に付き合った乾の思い出。

 一方、長らく海外生活を送っている選手の奮起にも注目したいです。

 まず、久保建英の動向に注目が集まるスペインリーグですが、個人的には乾貴士に期待しています。新シーズンをエイバルで迎えることができたのはよかったのではないでしょうか。監督との信頼関係も彼にとっては大きいと思いますし、何より彼はニコニコしながらサッカーやっている時が一番輝いているのでね。

 2007年、彼がマリノスに入団した時にちょうどコーチとして一緒に仕事をする機会がありました。よく彼の個人練習に付き合っていましたが、昔からファーストタッチへのこだわりは相当のものでした。

 練習の合間にもリフティングからボールを高く蹴り上げて、落ちてきた瞬間にどう触って、どう止めて、どうドリブルに持ち込むか、みたいなことを自分のものにするまで徹底的に取り組んでいました。

 事実、それが彼の最大の武器となっているところを見ると、実を結んでいるなと感心します。

 本当にサッカーが好きなやつなので、慣れ親しんだエイバルで初心に返ってほしいなと思います。また、岡崎慎司(マラガ/2部)、香川真司(サラゴサ/2部)も新たなチャレンジとしてスペインへ移籍しました。自らが望んできたリーガ参戦なので、楽しんでやれたら良いですね。カテゴリーは違えど、同世代としてお互いが刺激しながら切磋琢磨してくれればいいなと思います。

武藤にとっては勝負の1年に。

 昨季、乾らと同じようにやや不本意なシーズンを過ごした武藤嘉紀(ニューカッスル)にとっても今季は勝負の1年になるだろうと思います。彼本人も言ってましたが、昨季はプレーに制限が多かったので窮屈そうにプレーしていました。

 今季は監督がラファエル・ベニテスからスティーブ・ブルースに変わったなかで、まずはコンスタントに試合に出ることが求められます。チームはホッフェンハイム(ドイツ)からジョエリントンというブラジル人の若手FWを獲得しており、その争いに勝つ、もしくはシステム内で共存できるような立ち位置に辿り着けるかがカギとなるでしょう。

 彼の場合は動けるタイプなので、自由さえ与えられれば、しっかり準備をして、相手を混乱させるような動きで前線を活性化できる。そこからフリーになれたり、ゴール前に入っていく駆け引きができるようになればおもしろいですね。どこからでもゴールを狙えるシュート技術は持っていますから。

大迫、長友、酒井も注目したい。

  <!--StartFragment -->FW<!--EndFragment -->で言えば、ブレーメン(ドイツ)の大迫勇也。彼には得点を求めたいですね。昨季は怪我もあり、3得点(先発15試合)。うまい、すごい、よく収まる、それはもう十分伝わっています。だからこそブンデスリーガで2桁得点というノルマを自らに課してほしい。彼は日本のエースですから。

 さらに今季はマックス・クルーゼというチームのエースも抜けました。監督からの信頼も厚いようですから、ぜひ「ストライカー大迫」として評価を高めてほしいです。

 また、新しい選手に話題を取られがちですが、チームの中心選手として君臨し続ける長友佑都(ガラタサライ/トルコ)、酒井宏樹(マルセイユ/フランス)らの戦いもしっかりチェックしたいです。

 とくに酒井は瞬発力に優れたアフリカ系の選手が多いフランスで、抜群の安定感を誇っています。ボールを獲りにいく判断や、粘り強く相手に食い下がってシュートを打たせない、クロスをあげさせない対応が格段にレベルアップしました。移籍の話も目にしますが、現在の彼であればどこでも高いレベルでプレーできるでしょう。

W杯予選に向けて“悩ませて”ほしい。

 こうやって見ると、すべての「海外組」を挙げられないほど、多くの選手たちが世界を相手にプレーしています。現在は各クラブのスカウティング機能が発達したことで、いろんな国でサッカーをやるチャンスがあります。U-20W杯など育成世代の大会への関心も高まっていますし、もちろんJリーグでも試合に出ていれば、目に留まる可能性は大きいですね。

 Jリーグを盛り上げた海外初挑戦組も含めて、世界相手に戦える武器をどこまで磨けるか。W杯予選も始まるので、森保監督をいい意味で目いっぱい悩ませてほしいものです。

(構成/谷川良介)

(「水沼貴史のNice Middle!」水沼貴史 = 文)